政府がまもるべきは、原子力産業ではなく原発事故被害者の人権ーー東電福島第一原発事故から6年を受けて

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、東日本大震災および東京電力福島第一原発事故の発生から間もなく6年を迎える本日10日、原発事故による避難指示が一部区域を除いて3月末と4月1日に一斉解除されることを重く受け止め、下記の声明を発表しました。

グリーンピース・ジャパン 事務局長 米田祐子
「東日本大震災でお亡くなりになった方々に追悼の意を表し、被害に遭われた多くの方々にお見舞い申し上げます。

日本政府は、原発事故による避難指示を一部区域を除いて解除しましたが、いまだ事故の収束からは程遠い状況です。避難指示区域を可能な限り小さくし、原発事故前の状態に戻ったように見せたい、というのが安倍政権の狙いのようです。しかし避難指示を解除しても、放射能は消えません。グリーンピースが昨年11月に行った福島県飯舘村での放射線調査では、政府の長期除染目標を超える放射線量が多くの場所で測定されました。

賠償や住宅支援の打ち切りは、経済的な圧力による帰還政策であり、人権を侵害するものです。早期帰還政策は東京電力の利害と一致しますが、日本政府が守るべきは原子力産業ではなく、原発事故の発生から6年が経過しても元の暮らしを取り戻すことができていない被害者の人権です。

原発がなくても電力が足りていることは、この6年間ですでに証明されています。今必要なのは、原子力、そして石炭火力からも脱却して、環境負荷のより低い自然エネルギー100%の社会へと舵を切ることです。世界の自然エネルギーを取り巻く状況が示すように、それはもう十分に可能です」

グリーンピースは「原発事故被害者の人権をまもる国際署名」(注)を展開し、賠償の継続と住宅支援の継続、及び帰還政策の意思決定への住民参加を日本政府に求めています。

Bags of contaminated soils, mud and grass are covered and separated at a site in Iitate village. 10/27/2014 〜 Noriko Hayashi / Greenpeace

注)「原発事故被害者の人権をまもる国際署名」(3月末まで)

【参考】
報告書『遠い日常:福島・飯舘村の民家における放射線の状況と潜在的生涯被ばく線量』
報告書『格差ある被害: 原発事故と女性・子ども』