ゴア社、有害化学物質のPFCs全廃を約束ーーアウトドア業界リーダーがPFCsを過去のものに

2017年2月6日、ミュンヘンーーGORE-TEX_ 製品を製造するGore Fabrics 社は、本日6日、有害化学物質であるPFCs(フッ素化合物)を撤廃し、より環境に配慮した防水技術に移行することを、欧州最大のアウトドア展示会「ISPO ミュンヘン」で発表しました。国際環境NGOグリーンピースは同展示会で、アウトドア用品でのPFCs使用中止に向けた進展をまとめた『アウトドア業界の PFCs 革命』報告書(注1)を発表しました。

グリーンピースは、2011年の「デトックス・キャンペーン」開始以来、繊維業界にサプライチェーンからの有害化学物質全廃を呼びかけ、優先する化学物質の一つとしてPFCsの排出全廃に取り組んできました。さらに2015年には「デトックス・アウトドア・キャンペーン」を開始し、アウトドアブランドに着目してきました。アウトドア用品には、防水膜と撥水コーティングの製造過程でPFCsが使用されることが知られています。このキャンペーンには数万人のアウトドア愛好家が世界中から参加し、PFCsを使用していないアウトドア用品を求めてきました。

グリーンピース・イタリアの「デトックス・アウトドア・キャンペーン」企業担当リーダーのChiara Campioneは「有害化学物質のない未来のために、私たちとともに声をあげてくれたアウトドア愛好家に感謝します。皆さんがこの勝利の最大の貢献者です。Gore Fabrics 社のサプライチェーンへの影響力によって、有害化学物質のPFCsを使用しないアウトドア製品の幅は大きく広がるでしょう」と述べました。

耐候性技術市場のリーダーであるGore Fabrics 社は、2020年末までにアウトドア用品向けの耐候性ラミネート全般(耐候性ラミネートで作られる製品の85%に相当)から、そして2023年末までに特殊耐候性ラミネート(残りの15%相当)からPFCsを全廃することを約束しました。同社は、消費者製品向けの防水膜と撥水コーティングでより耐候性が優れた新技術を開発し、非フッ素撥水剤とフッ素系撥水剤の両方のオプションを研究します。また、製品ライフサイクルを通じて環境中に排出される有害なPFCsが全廃されることを公式に示しました。

Gore Fabrics 社のサステナビリティ・リーダーのBernhard Kiehl氏は「当社の製品は着用には安全ですが、PFCsによる環境汚染の懸念と、アウトドア市場において環境にやさしい新技術の必要性も認識しています。 この分野での製品リーダーとして、Gore Fabrics社はPFCsを含まない新技術の開発に多額の投資を行うことで、アウトドア産業において有意義な変化を起こす機会を得られたことにわくわくしています」と述べました。

Gore Fabrics 社は、ウェブサイトに「環境問題のPFCsを撤廃する目標とロードマップ」(注2)を発表し、グリーンピース・スイスの報告書に記されているように、実際に”ゲームチェンジャー”になることが期待できます。 ノースフェイス、マムート、サレワなど多くの大手ブランドは今も有害なPFCsを製品に使用していますが、耐候性繊維の大手サプライヤーであるGore Fabrics社の約束により、アウトドア用品での有害なPFCs使用は過去のものとなる可能性もあります。

グリーンピース・イタリアの Campioneは「アウトドア市場__での有害なPFCsを含まない技術への飛躍的なシフトはまだ終わっていませんが、関連するステークホルダーが責任をもって共に行動すれば、ひとつの業界を短期間で変えられることを示しています」と強調しました。

英語のプレスリリースはこちら

注1)『アウトドア業界の PFCs 革命』(原題 ”PFC Revolution in the Outdoor Sector” 英語)

注2)Gore Fabrics社の目標とロードマップ Goal and Roadmap for Eliminating PFCs of Environmental Concern(英語)

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

 

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