川内原発1号機、部品強度不安を抱えたまま再稼働ーーグリーンピース、安全願う住民無視と批判

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、本日8日、九州電力川内原発1号機が再稼働することを受けて、安全と安心を願う住民の思いを無視するものだと非難しました。グリーンピースや鹿児島県の市民団体は九州電力に、炭素濃度が高いことによる強度不足の不安がある部材を使用している川内原発の原子炉圧力容器と蒸気発生器について、現物の物理的な検査を再稼働前に実施することを求めていました。
これら大型の最重要機器の部材は、日本鋳鍛鋼株式会社や株式会社日本製鋼所により製造されたものです。フランスでは、この2社の原発部材は同国の原子力規制機関、原子力安全局(ASN)による調査の対象となっており、今夏より順次原発を停止して調査が実施されています。特に、日本鋳鍛鋼はフランスの原発12基に炭素濃度が高い部材を提供しており、物理的な検査(非破壊検査など。表面の炭素濃度測定や超音波検査などによる手法)を行うために停止命令を受け、現在停止中または12月中に停止する予定です。

原子力規制委員会は、これらの部材メーカーおよび電力会社からの報告を受け、11月22日、日本の原発について「製品中に規格で定められた炭素濃度を超えるような部分が残っているおそれはないと評価できる」と発表しました。しかし、提出された資料(注1)だけでは、その評価が正しいことを証明するには不十分です。

本件のために来日中のグリーンピース・ドイツ核問題シニアスペシャリストのショーン・バーニーは、「九州電力は、自社が所有する原発の安全性に責任があるにもかかわらず、川内原発の再稼働によってその責任を放棄しました。川内原発は火山活動の影響を受ける地域にあり、緊急時には即座に運転を停止する必要があります。フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)は、重要機器の強度不足は、炉心むき出しから溶融にまでつながる原子炉破壊のリスクを有すると警告(注2)しています。その破壊の引き金となりうるのが、緊急停止による熱衝撃です。こういった危険性があるからこそ、ASNは原発の停止を命じました。日本では、書類審査と業者との面談のみで、フランスで行われたような非破壊検査といった、現物での物理的な検査は行われておらず、原子力規制委員会と九州電力は川内原発の機器に強度不足のおそれがないことを証明できていません。不安を抱えたままの再稼働は、安全を願う住民を無視する行為です」と、九州電力の対応を非難しました。

注1) 第45回原子力規制委員会資料
「仏国原子力安全局で確認された原子炉容器等における炭素偏析の可能性に係る調査の結果等について」の参考1,2,3 参照

注 2) IRSN, Avis IRSN N° 2016-00275 Objet : EDF _ REP – Paliers CP0, CPY et N4 _ S_gr_gations en carbone des fonds primaires de g_n_rateurs de vapeur _ Analyse de s_ret_ et mesures compensatoires