グリーンピース声明:歴史的な「パリ協定」発効、出遅れた日本政府は野心的な取り組みで挽回を

国際環境NGOグリーンピースは、気候変動対策の国際的枠組みである「パリ協定」が本日発効したことを受け、以下の声明を発表しました。来週7日から18日までモロッコのマラケシュで開催されるCOP22(第22回国連気候変動枠組み条約締約国会議)は、パリ協定発効後初の締約国会議となります。
グリーンピース・インターナショナル(本部)事務局長ジェニファー・モーガンは、「パリ協定の批准国は、化石燃料からの移行を世界的に進めることが必須であると強調しています。衰退する石炭などの化石燃料に対し、自然エネルギーがすでに市場で優位に立っていることに私たちは希望を感じていますが、祝杯をあげるのはまだ早く、今後さらなるイノベーションや市民によるサポートが求められます。

各国の温室効果ガスの排出削減目標は、パリ協定での合意事項を達成するには不十分で、より野心的な削減計画を策定する必要があります。COP22で、各国政府が現状と目標の大きな隔たりにすみやかに取り組むことを期待しています。

私たちは、気候変動による大混乱に対峙する大きな節目の時を迎えています。今ならまだ、自然エネルギーという解決策によって気候変動を食い止めることができます。自然エネルギーは、私たちの健康を脅かすこともなく、雇用を創出し、環境に配慮されたクリーンで安全かつ実証されたエネルギーです。各国が十分な取り組みを行わず、この重要な機会を逃してしまった場合、あとに残されるのは莫大な費用と大きな危険、そして未知なる世界だけです。今こそ、行動あるのみです」と訴えました。

グリーンピース・ジャパン事務局長の米田祐子は、「日本が、パリ協定発効後初の締約国会議に正式な批准国として参加できないことは、ルールづくりのスタートに参加できないばかりか、日本の気候変動対策への優先度の低さを世界に示すことであり、非常に残念です。多くの市民の声に後押しされて脱化石燃料・脱石炭の流れが国際的に進むなか、日本は真逆の道を歩んでいます。G7の中でもっとも石炭火力発電を推進し、国内に48基もの石炭火力発電所を計画するとともに、海外の石炭プロジェクトへの投融資、技術輸出を続けています。また、東電福島第一原発事故の教訓を生かさず、国内の原発の再稼働と海外への技術輸出も進め、自然エネルギーの成長を阻んでいます。

いま、求められているのは、世界的な気候変動による危機に対して、社会・経済を変革していく覚悟と行動力です。日本は温室効果ガスの5番目の排出国として、国際社会での責任が問われています。日本政府がパリ協定の目標を達成するために野心的なビジョンと目標を掲げ、積極的に貢献することを求めます」と訴えました。