共同声明:IWC66スロベニアに向けて

10月20日から28日にかけスロベニアで開催される国際捕鯨委員会(IWC)の第66回総会に向けて、私たち、イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク、国際環境保護NGOグリーンピース・ジャパンを含む国内NGO16団体は、以下のことを日本政府に求めます。
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
農林水産大臣 山本有二 殿
水産庁長官  佐藤一雄 殿

日本政府は国際捕鯨委員会の決議と国際司法裁判所(ICJ)の判決を尊重し、南極及び北西太平洋、沿岸業者委託の調査捕鯨に許可を与えないこと
日本政府は、元捕鯨企業が撤退し、今後参入する企業の可能性のない商業捕鯨再開に向けてのキャンペーンと予算を撤回すること
調査捕鯨への51億円の予算措置を、海洋を健全に保つための生態系の保全及び水産資源調査に回すこと
<背景>
・1986年、商業捕鯨モラトリアムが実施されると同時に、日本は南極におけるクジラ捕獲調査を開始しました。これは、1946年の国際捕鯨取締条約8条によって定められたものですが、当時は商業捕鯨真っただ中にあり、捕獲調査の意味合いは現在とは異なり、科学者は捕獲頭数も10頭未満を想定していたと言われています*[1]。それ以降、日本はおよそ15,000頭のクジラを南極と北西太平洋で捕殺してきました。

・国際捕鯨取締条約の実施機関である国際捕鯨委員会(IWC)は、日本の調査捕鯨について、22回の停止または縮小決議を採択してきました*[2]

・2014年、国際司法裁判所(ICJ)は、日本が実施していた南極海第2期クジラ捕獲調査(JARPAII)は科学目的の調査と認められないと裁定しました。

・日本は、同年、ICJの採決に基づくとする新たなクジラの捕獲計画NEWREP-Aを策定しました*[3]。この計画に対してIWC科学委員回の専門家評価会議は、計画内容では致死的調査の必然性はないとし、また、2014年に開催されたIWC65回会合では、特別許可による捕鯨は科学委員会の助言に基づき、本会議での議論を行うという決議が採択されました*[4]。

・日本は、評価会議で出された課題をクリアしたとして、2015/2016年に同計画によるミンククジラ333頭の捕殺を含む調査を実施しました*[5]。

・国内におけるクジラ肉消費は減少し、国民一人当たり年間30gほどで、国内水産物消費のわずか0.1%に過ぎません*[6]。それにもかかわらず、鯨類調査の予算請求は、クジラを除くすべての水産資源調査予算41億円(2016年度)に比べ、51億円と異常な金額です*[7]

・一部の利益にしかならない調査捕鯨を中止し、現在喫緊の課題である海洋の保全を推し進める資金に充てることが国際社会と将来世代のために求められていることです。

<賛同団体>

あしたへの選択 Choices for Tomorrow (CFT)

認定NPO法人 アニマルライツセンター Animal Rights Center

生命の輪 Circle Of Life

イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク Iruka & Kujira (Dolphin & Whale) Action Network

海の生き物を守る会 Association for Protection of Marine Community

化学物質問題市民研究会 Citizens Against Chemicals Pollution

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン Greenpeace Japan

国連生物多様性の10年 市民ネットワーク Japan Civil Network for the United Nations Decade of Biodiversity

ジュゴン保護キャンペーンセンター Save Dugong Campaign Center

特定非営利活動法人 地球生物会議(ALIVE)A Life in Viable Environment(ALIVE)

「動物との共生を考える連絡会」The Japanese Coalition for Animal Welfare

認定NPO法人 トラ・ゾウ保護基金 Japan Tiger and Elephant Fund

バイオダイバーシティ・インフォーメーション・ボックス Biodiversity Information Box

PEACE~命の搾取ではなく尊厳を Put End to Animal Cruelty and Animal Exploitation

認定特定非営利活動法人 野生生物保全論研究会 (JWCS) Japan Wildlife Conservation Society

Voice for Zoo Animals