絶滅に瀕する「太平洋クロマグロ」救済のため 共同声明をWCPFC北小委員会に提出 ~グリーンピースとピュー・チャリタブル・トラスト、2年間の漁獲停止を提言~

国連の総合協議資格を有する国際環境NGOグリーンピースは、米民間助成団体のピュー・チャリタブル・トラストと共に、本日8月29日(月)より開催されるWCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)第12回北小委員会(注1)に対し、共同声明を発表しました。2014年に絶滅危惧種に指定された「太平洋クロマグロ」の乱獲を終わらせるため、全ての商業的漁獲を2年間停止する措置を直ちに実施するよう要請しました。
今年4月にISC(北太平洋まぐろ類国際科学委員会)が発表した最新の資源評価(注2)では、「太平洋クロマグロ」は、漁業が開始される以前の資源量である初期資源量の2.6%にまで減っていることが発表されました。また、WCPFCが設定した「2024年までに『太平洋クロマグロ』資源を60%以上の見込みで42,592トンまで回復する」という目標に対して、科学者らの予測によると、現行の管理かつ加入状況ではその目標が達成しないばかりか、2034年までに健全なレベルに個体数を回復する見込みはわずか1パーセントにも届かないことが分かっています。

グリーンピースは、このような状況下において、WCPFCが設定した目標を達成させ、「太平洋クロマグロ」を絶滅から守るために至急必要と考えられる「2年間の『太平洋クロマグロ』の漁獲停止」を提言しました。この禁漁措置は、「太平洋クロマグロ」資源が健全かつ持続的な水準に回復するための資源回復計画が太平洋全域において採択されるまで実施されるべきです。禁漁措置および適切な管理措置が2018年までに施行されない場合には、ワシントン条約に登録し、国際的な貿易の禁止をすることでのみ「太平洋クロマグロ」の種の保存が実現されると考えています。

<コメント>
グリーンピース・ジャパン海洋生態系担当の小松原和恵は「本年の北小委員会はまさに正念場です。これまでに保護管理措置の強化の必要性を幾度も訴えてきましたが、『太平洋クロマグロ』の資源量はわずか2.6%と、資源崩壊を意味する10%を大きく下回っています。国内では、漁業者らが産卵期に自主的に禁漁をせざるをえない状況にまで追い込まれています。日本政府の提案する『緊急措置』は、加入量が3年間継続して過去最低レベルになって初めて発動するという条件つきのため、今まさに起きている危機的状況を解決するものではありません。『太平洋クロマグロ』の最大の消費国であり、産卵場を有する日本が主導して保護措置の強化をはかるとともに、北小委員会がWCPFCに2年間の漁獲停止を含む施策を提言することを望みます」と述べました。