グリーンピース声明、規制委老朽原発延長認可を受けて、「40年ルール」を軽視した高浜1、2号機の運転延長認可に抗議

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、本日20日、原子力規制委員会が 、関西電力高浜原発1、2号機(福井県)の運転期間延長審査の「審査書案」を提示し、運転期間延長を認可したことを受けて抗議する声明を発表しました。東京電力福島第一原発事故後に運転期間延長審査の審査書案が出され、了承されるのは、今回が初めてです。

グリーンピース・ジャパン プログラム副部長兼エネルギープロジェクトリーダー高田久代は、

「原子力規制委員会は、住民の安全よりも原子力産業の利益を守ることを選びました。世界で閉鎖された原発の平均運転年数は24.7年です。現存する最も古い原発は米国のオイスタークリーク原発とスイスのベツナウ原発で、双方とも運転開始から47年です。オイスタークリークは2019年の閉鎖が決定し、またベツナウ原発は、原子炉圧力容器にひびが見つかり現在運転停止中です。高浜原発1、2号機の運転延長の認可で、日本は老朽原発の運転という世界でも未知のリスクの領域に入っていくことになります。地震国であり、東電福島第一原発事故を経験した日本が検討すべき選択肢とは到底言えません。

また、『原子力規制を監視する市民の会』が指摘したように、原子力規制委員会は、原子炉の重要機器の耐震性に関して、関西電力が実験による確認もないまま、机上の計算で導き出した数字を容認しました。これは、規制の怠慢を超えて、住民の安全もポスト福島の基準も無視する蛮行ではないでしょうか。

さらに前原子力規制委員長代理の島崎邦彦氏は関西電力の原発などに関し、過小評価の可能性があるとして、現在採用されているものとは違う方式での再計算を提案しています。すべての原発の耐震審査をやり直すべきであり、今、老朽原発に運転期間延長の許可を与えるのは、言語道断です」と訴えました。

老朽原発は原子炉容器などが長期に放射線を浴びたことにより劣化し、過酷事故のリスクが高まります。日本では、東京電力福島第一原発事故後、原発の運転期間は原則40年というルールが法制化されていますが、審査に合格すれば例外として、一回限り20年の延長が認められます。高浜原発1、2号機は、今年7月7日までに20年の運転延長許可が得られなければ廃炉となる予定でした。

なお、今年4月14日、グリーンピース・ジャパンの2人の職員を含む76人の住民が、原子力規制委員会が高浜原発1、2号機に延長許可を与えないよう求めて国を提訴しています。訴状では、新規制基準の不合理性と原子力規制委員会による新規制基準審査の瑕疵を問いています。7月13日には第1回口頭弁論が予定されています(弁護団長 北村栄弁護士:名古屋第一法律事務所)。