G7首脳は世界経済の脱炭素化に向けて早急な合意を

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、5月26日、27日に三重県伊勢市で開催されるG7伊勢志摩サミットの開幕に関して、以下の声明を発表しました。

グリーンピースは各国首脳に対し、伊勢志摩サミットを『パリ協定』で合意されたとおり、今世紀中の世界経済の脱炭素化のための絶好の機会ととらえて行動することを求めます。『パリ協定』は昨年の気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で170以上の国によって採択されました。伊勢志摩サミットでは2018年を期限とし、長期的な脱炭素社会への目標を発展させると同時に、すべてのエネルギーを風力や太陽光など自然エネルギーによって発電する社会を遅くとも今世紀半ばまでに実現するための明確な計画を立て、化石燃料へのあらゆる投資や支援を今後行わないことに合意すべきです。

とりわけ日本は、石炭火力発電からの脱却にG7諸国と早急に足並みを揃えなければなりません。日本以外の全てのG7諸国は、石炭火力発電所の閉鎖の計画をすでに発表していますが、約50基、総容量25ギガワット以上もの石炭火力発電所の新設を計画している日本は、真逆の方向に向かっています。

グリーンピース・ジャパンのプログラム副部長高田久代は、「日本政府はジキルとハイドのように、エネルギー政策で“二面性”を使い分けています。昨年、ドイツで開催されたサミットでは化石燃料の段階的廃止に署名したにもかかわらず、いまだに国内と東南アジアでの石炭火力事業への支援を拡大しています。日本がこのように相反する2つの立場を持つことは受け入れ難く、G7議長国として許されません」と批判しました。

気候ネットワークとグリーンピース・ジャパンは5月17日、レポート『新規石炭火力発電所による大気環境および健康への影響~東京 ・千葉エリアと大阪・兵庫エリアのケースタディ』を発表しました。その中で、日本の47カ所で石炭火力発電所の新設計画があり、その計画の多くが人口過密地域に近く、大気汚染と健康被害の影響も大きくなる可能性が高いことを指摘しました。『パリ協定』で合意されたように、21世紀末までの気温上昇を1.5度未満に抑えるために全ての国が行動を起こす必要があります。