国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、産卵期の太平洋クロマグロの取り扱いについて5月20日から6月5日にかけて国内大手スーパーマーケット5社・デパート5社・水産会社5社・鮮魚会社5社(注1)にアンケート調査を実施し、11社(注2)から回答を得た結果を本日発表しました(注3)。本調査により「資源管理は行政や調達先任せ」とするサプライチェーンの負の連鎖が浮き彫りとなりました。それを受けてグリーンピースは同日、産卵期の太平洋クロマグロを守るためのキャンペーン「マグロの赤ちゃんを守って!SAVE MY BABY」を開始しました。




本調査により少なくとも大手スーパー5社すべてに産卵親魚の取り扱いがあり、それは主に日本海の境港等で水揚げされたものであることがわかりました。産卵期の調達方針があるのは「産卵期の太平洋クロマグロの積極的な仕入れはしない」ユニーと、「抱卵魚を扱わない」西友のみでした。最も取扱量の少ないユニーは今後も積極的な仕入れを抑える方針です。持続可能な調達原則を掲げるイオンですが、産卵親魚の取扱量は最多となっています。同社は、今後「完全養殖クロマグロを増やし、産卵期の取り扱いを減らす」という代替策を明らかにしたものの、取扱いを今すぐ止めなければ個体数回復の大きな妨げとなります。

グリーンピースの海洋生態系担当の小松原和恵は「太平洋クロマグロの唯一の産卵場所は日本海と南西諸島沖で、日本の排他的経済水域内に位置し、絶滅を止められるのは私たち日本人の他にいません。今年より30kg未満の未成魚の漁獲半減措置が始まりましたが、産卵期の親魚を守る規制はありません。産卵期の禁漁など行政による管理措置も不可欠ですが、水産会社や小売も行政任せにするのではなく、早急に調達方針を変更する必要があります。それには私たち消費者が産卵期のマグロはいらないと声を上げることが大切です。」と訴えました。

グリーンピースはキャンペーンを通じ、消費者に問題を知り行動してもらうと共に、薄利多売によって同種の資源減少に影響を与えるスーパーとデパートに対して自主的な取り組みを行うよう求めていきます。

キャンペーン概要:「マグロの赤ちゃんを守って!SAVE MY BABY」

期間:6月22日〜12月(予定)
内容:スーパー、デパートにお客様の声「産卵期の太平洋クロマグロを取り扱わないルールと仕組み作りのお願い」を届ける。
提出先:スーパー5社、デパート5社
キャンペーンウェブサイト:http://www.greenpeace.org/japan/ja/campaign/ocean/seafood/tuna2015/

(注1) スーパーマーケット:イオン、イトーヨーカドー、西友、ダイエー、ユニー、デパート:そごう・西武、髙島屋、大丸松坂屋、阪急阪神、三越伊勢丹、鮮魚会社:魚喜、東信水産、中島水産、北辰水産、吉川水産、水産会社:極洋、共和水産、大洋エーアンドエフ、日本水産、マルハニチロ(※50音順、敬称略)

(注2) スーパー5社、デパート5社、魚喜の全11社
(注3) ブリーフィングペーパー http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/20150622-tuna-report.pdf/


国際環境NGOグリーンピース・ジャパン