国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、防衛省沖縄防衛局が名護市辺野古での新基地建設に向け海底ボーリング調査のための海上作業を15日に再開したことを受け、下記の声明を発表しました。
海上作業の強行再開は、民主主義にあるまじき行為であり、国家的な暴力だ。昨年1月の名護市長選、11月の沖縄県知事選では辺野古への移設反対を訴えた稲嶺進氏、翁長雄志氏が当選し、12月の衆議院選挙では沖縄の4選挙区で移設反対候補が選ばれ、辺野古への「新基地建設にノー」を訴える民意が示された。地元からの反対を受けて国がまず行うことは基地建設の強行再開ではなく、市民の声を聞き、市民から選ばれた代表との話し合いである。衆院選の結果でアベノミクスが「国民の信任を得た」というのであれば、安倍首相は沖縄県知事と基地問題解決に向けて話し合いを持つべきだ。

辺野古への基地移設は、周辺の海の埋め立てを伴う大規模な環境破壊である。辺野古沿岸の海は世界最北端にすむジュゴンの数少ない餌場であり、2014年の環境保護団体の調査では新たな食み痕も記録されている(注)。また、湿地の保全に関するラムサール条約事務局は、昨年10月に環境省に書簡を送り、辺野古・大浦湾は国際的に重要な湿地であり、辺野古沖について環境アセスメントや環境影響の低減措置、基地建設とその運用により影響を受ける陸域や沿岸域の修復などについて情報提供を依頼したことも報道されている。

グリーンピースは、過去に2回、所有する船で辺野古周辺の現場海域を訪れ、地元の方々と海域の調査や抗議活動を行い、この海域を海洋保護区とし、絶滅の危機に瀕しているジュゴンや、アオサンゴの大群集に象徴されるような豊かで貴重な生態系の保護を求めてきた。そして、日米両政府は環境保護の観点で絶滅危惧種とその生息環境及び生態系を持続的かつ国際的に保護していくことを大前提に、地元市民や国民の声を公平に聞き入れ、新基地建設を白紙撤回するべきだ。

注)「北限のジュゴン調査チーム・ザン」調査、「日本自然保護協会」考察より



国際環境NGO グリーンピース・ジャパン