国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、12月18日、東京電力管内に住む消費者500名に対して行った電力料金請求書の表示項目に関する意識調査の結果を発表しました(注1)。毎月届く請求書(「電気ご使用量のお知らせ」)に、電源別の発電電力量構成比(電源構成)、二酸化炭素排出量、放射性廃棄物排出量が表示されていたほうがよいと思うか聞いたところ、「はい」の回答が50.8%を占め、「いいえ」の9.0%を大きく上回る結果となりました。グリーンピースは、電源構成や発電に伴う二酸化炭素排出量・放射性廃棄物排出量などの表示義務化が消費者にとって必要だと主張しています。
本調査は、12月11~12日に、国内でもっとも電力供給量の多い東京電力管内に住む19歳から79歳の消費者500名にインターネットで調査を行ったものです(注2)。現在、経済産業省の電力システム改革小委員会のもとに設けられた制度設計ワーキンググループ(座長・横山明彦 東京大学大学院教授)にて、電源構成の表示についても取り上げられていることから、消費者の考えを調査しました(注3)。2016年4月には一般家庭も電力会社を選択できる電力自由化がスタートし、これまで選択権のなかった一般消費者が、自らの使う電気を選べるようになる大きな転換期が訪れます。

グリーンピース・ジャパン エネルギー担当の柏木愛は、「食品や化粧品の成分表示が義務付けられているように、電力自由化によって新たな市場機会が創出される電気についても、電源構成や二酸化炭素排出量、放射性廃棄物排出量などの情報開示が十分に行われることが必要です。東京電力福島第一原発事故後、多くの市民が原発をなくしていきたいと感じており、人も環境も汚染しないエネルギーを求めています。電力システム改革をきっかけに、自らが求めるサービス(電力供給)を提供するのはどの電力会社なのかを、消費者がわかりやすく比較検討できる選択の自由が保障されるべきです。そのためには、全ての電気事業者が、消費者の立場に立った十分な情報公開をすることを、信頼できる一律のルールの下で義務づけることが必要です」と訴えました。

今回の調査では3つの項目について質問しています。1つ目が、東京電力から毎月届く「電気ご使用量のお知らせ」と、電源構成・二酸化炭素排出量・放射性廃棄物排出量が明確に示されているドイツの電気料金の請求書を例に作成した仮の請求書の2つを並べ、どちらの請求書が好ましいか尋ねたところ、62.6%が、開示されている情報の多い後者を選択しました。なおドイツでは、小売電力事業者に対して電源構成等の開示が義務化されています。

2つ目に、毎月家庭に届く請求書に電源構成や二酸化炭素排出量、放射性廃棄物排出量などが示されていた方がよいと思うか聞いたところ、「はい」と答えた人が50.8%で、「いいえ」の9.0%を大きく上回り、より充実した情報提供を求めている消費者が一定数いることが明らかになりました。

3つ目に、現在の請求書には電力会社を比較し選ぶために、必要で十分な情報が電力会社から示されているか、との質問に「はい」と答えたのはわずか10.8%で、「いいえ」が43.8%と、消費者が電力会社の情報開示は不十分と感じていることが浮き彫りになりました。

グリーンピースは今後、消費者の電力選択の自由を確保するための活動を続けていきます。

注1) 調査結果まとめ:
注2) 12月11~12日、グリーンピースが楽天リサーチ株式会社に委託し、静岡県を除く東京電力管内(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)に住む19歳から79歳の消費者500名を対象に、インターネットで調査を行ったもの。
注3) 次回ワーキンググループの開催は12月24日(水)9:00より開催。要事前申し込み。



国際環境NGOグリーンピース・ジャパン