花王は、同社ウェブサイトに「2020年までに、森林破壊ゼロで作られた、パーム油と紙のみを購入する」という方針を7月7日に発表しましたが、新ガイドラインには依然として課題が残ります。第一に、2020年という期限では遅すぎる点です。同社のサプライヤーには6年の猶予があり、2020年までにインドネシアでは広大な森林が失われることが予測されます。第二に、保護価値の高い森林(HCV)の定義がないことです。第三に、地域コミュニティや先住民族が慣習的または法的に利用・所有している土地を開発する場合、彼らの権利を保護するために「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC)が必要となりますが、その記載がない点です。さらに、話し合いや交渉を繰り返しても森林破壊や人権侵害を繰り返す生産者がいた場合、どのように問題を解決するかが明記されていません。
グリーンピース・ジャパンで森林問題を担当する本多里衣は、「1年にわたる協議を経て、ようやく花王が『森林破壊ゼロ』を宣言してくれました。これは欧米だけでなく、アジアの市場でも森林にやさしい商品の需要があることを示しています。しかし、インドネシアの森林は世界のどこよりも早く減少しています。花王には森林保護を約束するだけでなく、具体的な対策を一刻も早く取ることを期待します」と述べました。
またグリーンピース・インターナショナル森林問題担当のアリーバ・ハミッドは、「花王の森林保護方針に改善の余地はありますが、消費者にとってはうれしいニュースです。日本だけでなくインドのGodrejやITC、中国のLibyやナイスグループなど他のアジアの日用品企業にも、森林にやさしい商品を期待する声にこたえることが求められています」と続けました。
グリーンピースは、2014年2月からオンラインキャンペーン『タイガー・チャレンジ』を展開し、世界中の消費者とともに日用品や食品を扱うグローバル企業17社(注2)に「森林破壊ゼロ」調達方針の導入を求めています。当初、8社しか「森林破壊ゼロ」を発表していませんでしたが、現在は花王やロレアルを含む13社が宣言しています。
注1)花王株式会社「原材料調達ガイドライン」(7月7日発表)
注2) 『タイガー・チャレンジ』ウェブサイト(英語)