国際自然保護連合(IUCN)が設置した「浸透性農薬タスクフォース」は24日、ネオニコチノイド系農薬とフィプロニルを含む神経毒の浸透性農薬が、生態系にどのような影響を及ぼすかに関する総合評価書「Worldwide Integrated Assessment」(注1)を発表しました。グリーンピース・ジャパンはこの発表を受け、農薬が地球に及ぼす悪影響を証拠づける最も包括的な科学的証拠に基づいた分析として歓迎しました。
報告書によると、ネオニコチノイド系農薬や浸透性農薬に悪影響を受けるのは、ミツバチや野生の花粉交配者だけではなく、水生昆虫やミミズ、野鳥などの有益な生物も含まれるとしています。これらの生物は植物自体をはじめ空気中や土、水からと様々な経緯で農薬に暴露されて死に至ります。ネオニコチノイド系農薬は様々な局面において、生態系に必要不可欠な機能に損傷を与えているということが判明しました。

グリーンピース・ジャパンで食と農業問題を担当している関根彩子は以下の声明を発表しました。

「この報告は明確な、ゆるぎない事実を提示しています。この分析では、農薬に依存し続ける限り、長期間使用して初めて深刻な影響が顕在化してくるという典型的な悪循環にはまることを改めて証明したといえます。

かつては使用されていたが、その危険性がわかり世界中で使用禁止になった有機リン系農薬やDDTなどの有機塩素系農薬などと同じ運命を、今、ネオニコチノイド系農薬もたどりつつあります。同じ過ちを繰りかえさないためにも予防原則が重要で、科学的証拠にもとづいて、さらなる被害を防ぐ対策をとることが日本も急務といえます。

私たちはこの農薬の悪循環の中から脱却し、自然に逆らうのではなく、共に歩むすべを模索しなければなりません。土壌、水、気候、そして生物多様性をはぐくむものを保護することによって、健康的な農業と食を保証するような、生態系と調和した農業はすでに世界、そして日本各地で試みられています。日本政府はその価値を深く理解し、その支援と促進(移行)を迅速に進める必要があります」。

注1) IUCNによる評価書概要(英語)
http://www.tfsp.info/wp-content/uploads/2014/06/WIA-Conclusions-summary.pdf


国際環境NGOグリーンピース