政府は、来週にも集団的自衛権を容認する方針を閣議決定しようとしている。政府・自民党は、公明党と集団的自衛権の容認に早期合意しようとしているが、公明党内には慎重な意見が根強く、合意は難航している。戦争は、命と環境を破壊する最悪の事態をつくり出す。グリーンピース・ジャパンは、以下の2つの理由から集団的自衛権容認の閣議決定に強く反対する。
1. 恒久平和主義こそが最大の自衛であること
一切の武力による威嚇・武力の行使を放棄し、戦力の不保持、交戦権の否認を規定して、徹底した恒久平和主義を実現しようとすることを崇高に掲げた憲法9条の精神こそが、武力紛争が依然として絶え間ない国際社会において、ますますその存在意義を増している。

集団的自衛権の行使容認は、国際社会に対して日本が「敵と味方」の線引きを開始すると宣言することを意味する。戦後、約70年も守ってきた平和を手放し、人を殺し殺される戦争に巻き込まれ、国内外でテロの標的になることを招く。平和主義を貫き、「敵」をつくらない崇高な理想と具体的な外交努力こそが戦争に巻き込まれず、市民の安全を守る最大の自衛である。

2. 憲法の解釈変更によって国民の平和的生存権が否定されようとしていること
憲法前文は、「われらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」と述べている。

政府が行おうとしている集団的自衛権の行使容認の閣議決定は、この前文とあらゆる部分で矛盾する。特に、憲法の基本原理に関わる変更を国民の意思を直接問う手続を経ることもなく、内閣の判断で行うことは、立憲主義、国民主権を根本から否定するものである。そもそも憲法が制定された当初からの目的は、時の政府による国家権力乱用を阻止し、国民の基本的人権を守るためである。現政権が行おうとしている集団的自衛権の行使容認こそが、憲法が厳しく否定してきた権力乱用にあたると言える。このような憲法解釈変更は、到底容認することはできない。

グリーンピースは、今後も「緑豊か」で「平和」な社会の構築を目指した国際的な活動を行っていく。


国際環境NGOグリーンピース