現在のウナギ食の主流は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで売られているパック詰めにされた加工商品です。薄利多売型のビジネスモデルにより、ウナギは晴れの日のご馳走から安価で手軽に消費できる食材へと姿を変えました。これにより肥大した需要を賄おうと各地で乱獲が進んだ結果、日本で食されるウナギのうち、99%(注2)が絶滅危惧種 という事態に陥っています。
二ホンウナギは、環境省が2013 年2月1日に同種を「近い将来に野生での絶滅の危険性が高い」として絶滅危惧種に指定しており、資源の減少が非常に深刻な状態です。昨年、ニホンウナギは IUCNのレッドリストへの登録は見送られましたが、近日発表される予定の改訂版リストでは登録される可能性が極めて高いといわれています。
さらに、国内のウナギ流通業界は、ニホンウナギやヨーロッパウナギの減少を受け、インドネシアウナギやモザンビカウナギなどの代替となるウナギの調達が始まっていますが、これらのウナギのほとんどは持続可能性を確保する資源管理が行われていません。特定の種を獲り尽くしたら、次の種に移行して乱獲を繰り返す、持続可能でない調達を今後も続けていけば、これらの種も資源減少の道をたどることが懸念されます。
グリーンピースの海洋生態系担当の花岡和佳男は、「これまで日本の食文化にとって大切な日として位置付けられてきた土用の丑の日は、いまや国をあげて『絶滅危惧種を食べる日』になっています。絶滅危惧種の薄利多売と、日本の伝統食文化の継承は相反するものがあります。ユネスコ無形文化遺産に認定された『和食』の代表格であるウナギ料理を次の世代に残すには、行政が十分な資源管理に舵を切るためにも、大手スーパーマーケットが積極的に絶滅危惧種の調達を一時見合わせて資源回復を優先することが必要です。また、代替するウナギについては十分な資源管理を行い、持続性を確保してから取り扱うことが求められています」と訴え、「世界有数の魚介類消費国である日本では、食卓に上る魚の約70%(注4)がスーパーマーケットで販売されています。私たち消費者がこの先もずっと安心して食卓を囲めるよう、スーパー各社は、ウナギだけではなく、全ての魚介類を対象とした持続可能な調達方針を策定する必要があります」と続けました。
注1)アークス、イオン、イズミ、イトーヨーカドー、オークワ、西友、ダイエー、平和堂、マルエツ、
ライフ、ユニー、ヨークベニマル
注2)ウナギの調達方針に関するアンケート調査結果
注3)日本養鰻漁業協同組合連合会、財務省貿易統計より算出
注4) 水産庁 平成23年度水産白書
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国際環境NGOグリーンピース