水産庁が2015年度の南極海での調査捕鯨再開を本日18日に発表したことを受けて、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン事務局長の佐藤潤一は以下のとおり声明を発表しました。同時に水産庁は、北西太平洋での調査捕鯨も捕獲頭数を減らして4月26日から実施すると公表しています。
「南極海での調査捕鯨再開の発表は、北西太平洋での調査捕鯨の捕獲数を減らしたとしても、国際的に大きな批判を受けるだろう。国際司法裁判所は3月31日、日本の調査捕鯨が科学的ではないと判断した。その判決を受けて日本が南極海での調査捕鯨の一時中止を発表したことは国際的に評価されていたが、これで帳消しとなるに違いない。

国内における鯨肉の需要は非常に小さい。鯨肉市場の必要性のないなか、年間50億円以上の税金を費やすことには必然性がない。調査捕鯨の再開は、一部の政治家の声を聞いた結果だと批判されてもしかたがない。

北西太平洋での調査捕鯨では、捕獲頭数を380頭から210頭に減らしている(注)。しかし、絶滅危惧種のイワシクジラは100頭から90頭にしか減らしていない。加えて食用として価値がないとされるマッコウクジラは10頭から0頭に減らしている。このように、鯨肉市場で好まれるイワシクジラとニタリクジラを獲り続けるという姿勢こそ、科学的な調査目的ではなく、商業捕鯨を目的に捕獲頭数を決定しているといえる。

この方針が来週のオバマ大統領来日前に発表されたことで、日米関係にも影響が出るだろう。国際社会で日本が信頼を回復するには、国際司法裁判所の判決を真摯に受け止めて調査捕鯨を完全に中止し、国際的な協力のもとでより包括的な生態系調査を行うことだ」。

注)水産庁、「今後の鯨類捕獲調査の実施方針の概要」、2014年4月18日