署名は、本年2月よりグリーンピースのウェブサイトで実施し、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、南アフリカ、インドなど、世界各国から寄せられました。また、グリーンピースは両社に送付する2万枚の意見ハガキの配付も行い、両社に意見を送ることを働きかけました。その参加者の一人、小学校1年生の女の子からは「子どもがしょうらいこまるものは、つくらないでください」と書いて、東芝と日立にハガキを送ったとの報告が寄せられました。
グリーンピース・ジャパン気候変動/エネルギー担当の高田久代は、「原発事故は、取り返しのつかない事態を引き起こします。危険性があるからこそ、ほかの製造物と同じように、原発にもメーカー責任が問われるべきです。ところが、原子炉メーカーは自社製品が事故を起こしたにも関わらず、何ら責任を問われていません。そればかりか、市民が税金や電気料金の上乗せにより事故の費用を負担する一方で、原発ビジネスによる利益のさらなる拡大を公言しています(注2)。あまりにも無責任ではないでしょうか。今回、署名数を報告した際、日立からは『我々は被害を福島の住民に与えていない』との発言がありました。自社製品の事故により、現在も15万人が避難を余儀なくされているなか、日本を代表する企業の社会的責任が問われています」と訴えました。
東京電力福島第一原発の原子炉は、日立、東芝、ゼネラル・エレクトリック(GE)(注3)によって製造されています。グリーンピースは、日立株主総会への株主としての出席の他、直接の面談や書面のやり取りを通じて、つくった原子炉が事故を起こした責任について公式見解を求めるなど、メーカー各社への働きかけを行ってきました。市民にとってなじみの深い家電製品を製造し、環境配慮も怠らないと主張する両社ですが、一方で、原子力事業についての立場は事故前と比べ大きな変化はありません。
2011年8月に成立した原子力損害賠償支援機構法の附則では、原賠法のできるだけ早期の改正、国民負担の最小化が定められましたが、現在でもなお、それらの措置は実現されていません。グリーンピースは、法律の目的として「被害者の保護」を優先するなど、原賠法の改正(注4)を強く求めており、今後も原子炉メーカーの動きを注視していきます。
注1)議決権に必要な1単元を購入、運用や売却で最終的に利益がでた場合には金額と処理方法を公表予定です。
注2)日立は今後7年で原発ビジネスの売上高を2倍の3600億円に、東芝は今後5年で1兆円、三菱重工は2014年度に2011年度比1.6倍の4000億円の売上達成をめざすと公式に発表しています。
注3)GEと日立は現在、原発事業を経営統合しています。
注4)2013年4月19日プレスリリース
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国際環境NGO グリーンピース・ジャパン