国際環境NGOグリーンピースは本日、福島県福島市、伊達市で9月28日に実施した放射線調査の結果を発表しました(注1)。調査結果より、どちらの市においても、除染後も政府の除染長期目標である毎時0.23マイクロシーベルト(注2)をこえる場所が、いまだに多く残されていることが明らかになりました。

福島市(人口:28万人)では、東京電力福島第一原発事故により高い放射線量が測定され、人口密度が高いことから、グリーンピースは事故直後より継続的に調査(注3)を行っています。今回、福島市中心部、渡利地区、大波地区の218カ所において、これまで継続的に測定している地点を中心に、保育施設・学校周辺、公園、道路、福島駅周辺の線量を測定しました。その結果、これまでの測定結果と比較すると全体として低下傾向にあるものの、大波地区の小学校近くの道路上で毎時1.6マイクロシーベルト(地上1メートル、以下同)など、身近な場所で今もなお高い放射線量が測定されました。

伊達市(人口6万5千人)では、昨年12月に避難勧奨地点が突然解除されましたが、高い放射線量が報告されていることから、今回調査を行いました。小学校、公民館などの公共施設や除染された個人宅の敷地内など、市内31カ所で測定しました。その結果、小学校近くの道路上で毎時2マイクロシーベルト、除染済の家屋敷地の数カ所で放射線管理区域の基準値(毎時0.6マイクロシーベルト)以上など、高い放射線量が測定されました。

グリーンピース・ジャパン 気候変動/エネルギー担当の高田久代は「今回の調査から、人口の密集する福島市や伊達市が、今もなお高い放射能に汚染されていることが明らかになりました。国際原子力機関(IAEA)の調査団が21日にまとめた報告書暫定版では、国際基準の観点から年間被ばく線量は1~20ミリシーベルトの間であれば受け入れられるとの見解が示されましたが、政府は原子力推進を目的にしたIAEAより、被害者の声にこそ耳を傾けるべきです。

今求められているのは、子ども・被災者支援法に示されている『避難、居住、帰還』など、これからの生活を被害者自らが選択することを可能にする支援です。政府は、どの選択に対しても、十分な補償と支援、そして被害者に寄り添った情報を提供すべきです」と述べました。


注1) 調査結果詳細はこちら。今回の調査はドイツやインドなど13カ国19人からなるグリーンピース放射線専門家チームにより実施され、測定結果は地図上にプロットされています。
注2) 年間1ミリシーベルトとなる被ばく線量
注3) 過去の調査結果一覧はこちら。福島市内においては2011年3月からこれまで、8回の調査を実施。なお、2013年10月1日~5日には、福島県田村市での放射線調査を実施しています。


国際環境NGO グリーンピース・ジャパン