国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、10日に原子力損害賠償支援機構法の成立から2年を迎えることを受けて、以下の声明を発表しました。

(以下声明)

8月10日で原子力損害賠償支援機構法の成立から2年を迎えるが、その附則で定められている原子力損害賠償法の改正はいまだに実施されていない。これまで、東京電力福島第一原発事故の賠償のために4兆円近い税金の投入が見込まれているが、被害者への迅速および十分な賠償はなく、原発によって利益を得てきた融資元や原子炉メーカーなどのサプライヤーは一切の賠償責任を負っていない。市民に巨額の賠償を転嫁するのではなく、本来原発から利益を得てきた者、事故原因に責任のある者が、事故のリスクやコストも引き受けるべきである。

以上

■「原子力損害賠償支援機構法」(機構法)について
2011年8月10日に機構法が成立した際、原子力損害の賠償に関わる法律(原賠法)のできるだけ早期(1年以内)の改正や、「国民負担の最小化」(2年以内)など、必要な措置を講じることが機構法の附則(第六条)に記された。しかし現在でもなお、それらの措置は講じられていない。福島原発事故の被害者への賠償や支援が進んでいない中、十分かつ迅速な賠償をし、そして市民による負担を最小化するために、グリーンピースは原賠法を以下の通り改正することを強く求めてきた(注)。

法律の目的として「被害者の保護」を優先する
納税者の負担のため、巨額の賠償と地震リスクに対応できる規模の資金的保証(保険への加入または関連事業者の出資による損害賠償基金の設立)を義務付ける
納税者の負担減少のため、国民(税金)や電気料金による負担よりも、株主および融資の貸し手による賠償責任を優先する
原子炉も製造物責任法(PL法)の対象とし、原子炉メーカーをはじめ事故の原因に責任のある者から優先的に賠償責任を負う
事故が第三者の過失によって引き起こされた場合も求償の対象とする

注) 「共同プレスリリース、NGO5団体、自民党に被害者保護を最優先した原賠法改正を求める」(2013年4月19日)

参考ブログ)「原発事故の賠償 あるべき姿」(2013年8月7日)



国際環境NGO グリーンピース・ジャパン