国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは6月26日、東京電力株式会社の第89回定時株主総会で株主として発言し、同社に福島第一原発の原子炉メーカー(GE、日立製作所、東芝)の賠償責任の検証を求める株主提案(第12号議案(注))を提出し、参加株主への賛同を訴えると同時に、会場前でも株主に向けてアピールをしました。
本日の株主総会は東京電力が実質国有化されてから初めての開催となりました。会場前に集まったグリーンピースのスタッフやボランティアら約15人は、「原発ギャンブル もう、たくさん」、「Nuclear gamblers must pay(原発ギャンブラーは支払いを)」、「No Nuclear」などと日・英・ヒンディー語で書かれたバナーやプラカードを入場する株主に掲げました。同時に、ルーレット台を模した「原発カジノ」を設けて、原発はひとたび事故が起これば環境破壊と社会的影響が計り知れないとして“原発はギャンブル”であることを表現し、東電の株主に対して、脱原発を進める株主提案への賛同を呼びかけました。

また総会内では、グリーンピース・ジャパンが一株主として第12号議案を提示し、最大株主である原子力損害賠償支援機構ら出席している株主に対し賛同を求めると、会場から拍手で迎えられました。このほか脱原発・東電株主運動の株主からは、福島第二原発や柏崎刈羽原発を廃止することや、取締役報酬等の減額、実質国有化された同社の株主総会の公開を求める議案が説明され、会場から大きな拍手がありましたが、グリーンピースの12号議案を含め株主提案はすべて否決されました。

グリーンピース・ジャパンの核・エネルギー担当の関根彩子は、「事故の再発防止と賠償の促進、そして国民負担の最小化のために、東京電力は事故当事者としてメーカー責任を追及すべきです」とし、「東電の株主総会運営は、事業報告とすべての議案について一括質疑・審議する形であるため、集中した議論は望めず、被害者を含む株主意見を聞く機会がないがしろにされています。これでは、福島原発事故を教訓としているとは言えません」と述べました。

また関根は、特に国、すなわち原子力損害賠償支援機構について、「16万余りの方々が故郷を失うような事故を起こした今、メーカーなど利害関係者にまず責任を負わせ、被害者の救済を最優先するなど、原子力賠償制度の刷新が『福島の教訓』の一つとして不可欠です。国は、福島第二と柏崎刈羽の両原発の廃炉や、メーカー責任の追及をすべきです」と訴えました。

グリーンピースは、21日の日立製作所、25日の東芝の株主総会でも経営陣に原発についての考えを質すよう、株主に働きかけを行いました。グリーンピース・ジャパンは脱原発と自然エネルギーの飛躍的導入を求め、株主総会への参加・議決権行使などのために、東京電力、関西電力、および日立製作所の株式を最小単位で購入しています。

注) 4/26 プレスリリース


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