国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは6月21日、株式会社日立製作所の第144回定時株主総会が行われた東京都内の会場前で、「原発にもメーカー責任を」、「No Nuclear」などと書かれたメッセージを掲げ、総会に参加する株主に対して、同社への投資があらたな原発事故につながらないよう、原子力発電についての同社の考えを経営陣に問いただすよう呼びかけました。
同日行われた日立の株主総会に先立ち、会場前に集まったグリーンピースのスタッフやボランティアらは、「原発メーカー日立の株主総会はこちら」や「100,000 globally say “Nuclear gamblers must pay”(10万人が世界で賛同“原発ギャンブラーは支払いを)”」などと書かれたバナーやプラカードを入場する株主に掲げました。また総会内では、グリーンピースが一株主として「原発事業の廃止こそが社会と株主の利益になるのではないか」と問い、他にも同社の原発事業への懸念の声が株主から複数あがりました。しかし中西社長は「原発に取り組んでいることを恥ずべきことだとは片時も思ったことはない」とし、東京電力福島第一原発事故の責任は自社にないと主張しました。

グリーンピースは、東電福島第一原発の原子炉メーカーである日立/GE(米ゼネラル・エレクトリック)および東芝に事故の責任を求め、『原発にもメーカー責任を』と訴える署名を本年2月からグローバルで実施しており、約4カ月間に世界から10万筆を超える賛同が寄せられています。東電福島第一原発の原子炉の型(Mark-I)は、現在日立と原発部門を経営統合しているGE製であり、圧力抑制系などに問題があったことが米原子力委員会安全委員によって1972年から指摘されていました(注)。

グリーンピース・ジャパンの気候変動・エネルギー担当の高田久代は、「消費者は、家電メーカーとして親しまれてきた日立の“もう一つの顔”に気づき始めています。日立や東芝は自社製造の原子炉が大事故を起こしたにもかかわらず、事故の賠償責任を一切問われていないばかりか、原発輸出や東電福島第一原発事故の関連事業によって今後も原発ビジネス拡大を目指す経営計画を株主に発表しています。日立や東芝がいま投資すべきは、いつ次の事故が起こるかわからない危険な“原発ギャンブル”ではなく、自然エネルギー事業であるべきです」と述べました。

また、グリーンピース・インターナショナル 核・エネルギープロジェクトリーダーで、来日中のアスリハン・テューマーは「福島第一原発事故後、世界の原発需要は大きく後退しています。いま世界の市民が日本の原子炉メーカーに求めているのは、福島第一原発事故の一刻も早い収束と被害者救済に全力を尽くすことであり、原発の輸出ではありません。自社製品が深く関与する事故の責任を免れながら、他国に同じ製品を売り込もうとすることは非常に非倫理的と言わざるを得ません」と訴えました。

グリーンピースは、25日に行われる東芝の株主総会でも、同様の訴えを株主に向けて行う予定です。また、グリーンピース・ジャパンは脱原発と自然エネルギーの飛躍的導入を求め、株主総会への参加・議決権行使などのために、東京電力、関西電力、および日立製作所の株式を最小単位で購入しています。

注) ブリーフィングペーパー『日本の原子力損害賠償制度の問題点――被害者保護のための改正を』





国際環境NGO グリーンピース・ジャパン