国際環境NGOグリーンピースは5月27日、東京電力に「福島第一原子力発電所事故の原因究明に関する情報開示を求める公開書簡」(注1)を送りました。主に情報開示を求めているのは、福島第一原発の原子炉(GE社のマークI)における安全上の問題点に東電やメーカーがどのように対応してきたかに関する情報や、東電と原子炉メーカーとの間で交わされた建設や保守の契約文書です。東電は事実上国有化され、原発事故の除染や賠償のためにすでに数兆円にのぼる税金が投じられています。加えて事故が社会と環境に及ぼした甚大な影響をふまえ、東電が保有する情報の公共性は行政庁の情報開示に匹敵するほど高いとし、6月12日までの情報開示を求めました。

【情報開示要請内容概要】

– 東京電力が福島第一原子力発電所の建設に関してゼネラル・エレクトリック社(以下GE)、日立製作所(日立GEニュークリア・エナジーを含む)、東芝の間で交わした契約書。
– 福島第一原子力発電所1号機の設置許可申請から稼働までの間にGEと東京電力との間で交わされた全通信文書
– 1987年11月5日付け原子力安全委員会「BWR・MARK I型格納容器圧力抑制系に加わる動荷重の評価指針」のために東京電力が作成・提出した全文書
– マークI 原子炉の安全性の問題についてこれまでに出されてきた各種の警告や勧告に、どのように対処するか、東京電力が原子炉メーカーや政府と協議、検討した議事録および、報告や連絡等の文書

グリーンピース・ジャパン エネルギー担当の関根彩子は「国会事故調査委員会の報告書では、原因究明にはさらなる調査が必要としており、事故の根本原因は3.11より前にあった可能性も示唆しています。その鍵となる情報を保持している東京電力は、企業秘密よりも公益性を優先させ、事故に関連する情報を開示する責務があります。今月23日の東海村の加速器施設からの放射能漏れも、事故を想定しない設計・管理という点で、東電福島原発事故と共通する背景があります。原子力事故の再発をさせないためにも、東電の事故原因に関連する情報開示は急務です」と述べました。

グリーンピース・インターナショナル エネルギー担当部長ヤン・ベラネクは「多くの国は、原子炉メーカーなどの原子力産業の責任を問わない原子力賠償制度を採用しており、原発事故の際に生じる賠償の支払い責任が免除されています。福島第一原発に関与した原子炉メーカーの役割を公開することは、日本の人々と国際社会とが共有すべき重要な情報です」と訴えました。

グリーンピース・ジャパンは電力会社に脱原発と自然エネルギーの飛躍的導入を求め、株主総会への参加・議決権行使などのために、2012年10月に東京電力と関西電力の株式を最小単位(各100株)購入しており、6月26日に行われる東電株主総会にむけて、福島第一原発の原子炉メーカーの責任を問う内容の議案を出しています(注2)。

注1) 「福島第一原子力発電所事故の原因究明に関する情報開示を求める公開書簡」および要請内容の詳細

注2) グリーンピース・プレスリリース「東電株主、脱原発を求める株主提案を提出: グリーンピース・ジャパンも提案に参加」(2013年4月26日)


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