国際環境NGOグリーンピースは、本日15日、福井県の高浜原発に向けてプルトニウムMOX燃料(プルトニウム・ウラン混合燃料)を積んだ輸送船がフランス・シェルブール港を近く出港することを受けて、下記の声明を発表しました。

今回輸送されるのは、福井県高浜町の関西電力高浜原発3号機用のプルトニウムMOX燃料20体で、フランスの大手原子力企業アレバ社が3年前に製造したものです。東京電力福島第一原発事故後にプルトニウムMOX燃料が輸送されるのは初めてで、前回2011年4月に計画されていた輸送は、福島第一原発事故のため延期されていました。

輸送船は、英国のパシフィック・ニュークリア・トランスポート社(PNTL)所有の核燃料輸送船「パシフィック・ヘロン」と「パシフィック・イーグレット」で、それぞれ護衛のために30ミリ砲が備わっています。関西電力は出発日、航路、日本へのおおよその到着日は出港後に公表するとしていますが、日本まではパナマ運河経由で45日程度、喜望峰・南太平洋ルート、南米ルートでそれぞれ60日から70日程度かかる見込みです。

東京電力福島第一原発が依然きわめて深刻な状況にあるなか、使うあてのない危険なプルトニウムMOX燃料の輸送が始まろうとしていることに、フランスの現地NGOの批判も高まっています。

(以下声明)
「関西電力高浜原発の再稼働の目途はたっていない。フランスから日本へ、地球を半周してまで核輸送する必要がないばかりでなく、輸送ルート沿岸国に海上原子力事故のリスクを押し付けるものだ。不要かつ危険な輸送は直ちに中止すべきだ。

東京電力福島第一原発での相次ぐ停電や汚染水漏れなどのトラブルから、東京電力の事故対策自体がいまだに“仮設の対策”であることが判明した。つまり、福島第一原発事故の危機的状況は、輸送が延期された前回2011年と何ら変わりはない。今、日本政府と電力会社が全力を尽くさなければならないのは、事故の収束と原発事故被害者の保護であり、不必要なプルトニウムMOX燃料の輸送ではない。」


国際環境NGO グリーンピース・ジャパン