国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは25日、脱原発こそ企業の『社会的責任』として、原発に依存しない社会の実現を求める書簡を日本経済団体連合会(経団連)の米倉弘昌会長宛に送付しました(注1)。
この書簡は、9月14日に政府が発表した「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指す「革新的エネルギー・環境戦略」について、経団連が国内産業の空洞化が加速し雇用維持が困難となるため、経済界として到底受け入れることはできないとしている(注2)ことに対して、このような意見が同団体加盟企業の総意なのかを尋ね、国民の多くが望む原発に依存しない社会の実現のために企業の社会的責任(CSR)の観点からも総合経済団体としてリードをとることを求めるものです。

グリーンピース・ジャパンの気候変動・エネルギー担当の高田久代は、「原発停止により電気代が高騰し国内産業の空洞化が加速すると言われていますが、業種によってエネルギーコストは大きく異なります。製造業全体をひとつとして議論するのではなく、電力多消費業種は別途対応するなど、業種ごとの丁寧な検討が必要です」と訴えました。

さらに、「省エネ・自然エネルギー中心へと舵を切ることは、電力供給を犠牲にすることなく新しい産業や雇用をつくり、エネルギー自給率引き上げによって国内で循環するお金を増やし、中長期的な電力コスト減少にも貢献します。このようなエネルギー基盤シフトは、経団連会員企業にとっても利点が多くあるはずですが、原発停止によりあたかも産業界全体が一様に不利益を被るかのように経済団体トップが振る舞うことは、こうした利点・新しいビジネス機会の芽を自ら摘んでしまうことにならないでしょうか」と懸念を表明ました。

グリーンピースは、エネルギー基盤シフトによる困難や変化をプラスに変え、新たな価値を創り出し、国の目標である脱原発社会の実現に貢献していくことこそ、今一番求められている企業の社会的責任(CSR)であるとして、企業への働きかけを続けていきます。

注1) 9月24日付で日本経済団体連合会(経団連)の米倉弘昌会長宛に送付した書簡
注2) 9月18日の経済団体共同記者会見における米倉会長発言要旨より

国際環境NGO グリーンピース・ジャパン