野田佳彦首相が本日8日夕方、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働問題について会見し、大飯原発の安全性と必要性を国民に説明することに対して、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、大飯原発の拙速な再稼働は日本の脅威だとして、再稼働ありきで強引に推し進めるのではなく、真摯に国民の声を受け止め丁寧に対話を繰り返すことを求めます。

大飯原発3、4号機の再稼働について、政府や福井県によって開かれた住民説明会は一度だけです。政府や県による再稼働の是非を問うアンケートや住民投票も行われていません。グリーンピースが行った福井県民を対象とした意識調査では、7割の県民が「再稼働に不安」、「政治判断、性急すぎる」と答えています(注1)。さらに、今年3月から現在までに各新聞社などが実施した意識調査15件を見ても、原発再稼働容認が反対を上回ったのは15件中1件のみ(注2)であり、拙速な再稼働への国民の懸念があらわれています。

また、大飯原発の敷地内を横切る軟弱な断層(破砕帯)が動き、近くの断層と連動して地表がずれる可能性があるとの専門家による分析について、原子力安全委員会の班目春樹委員長は6月7日の記者会見で「最新の知見が出たなら、原子力安全・保安院で評価をしっかりやり直すべきだ」と指摘しています。原発や地震の専門家の指摘を無視し、原発ありきで事を急ぐことは、「原発安全神話」の復活以外の何物でもありません。

野田首相は自らの責任で再稼働の判断をすると述べました。しかし、具体的に何をもって「責任をとる」ことを指すのかは全く明らかにされていません。法的根拠を持った原子力規制機関の存在も確立されていない現状で、万が一大飯原発で事故が発生した時に首相の座にあるかも担保されていない野田氏が安易に「自分が責任をとる」と言ったところで、納得する国民は少ないでしょう。首相がまずとるべきは、国策として進めてきた福島第一原発での事故の責任であるはずです。

また野田首相は、原発再稼働は日本経済社会の発展に必要だとしていますが、原発は対応しきれない大きなリスクと負債を生み出すものであることは東電福島第一原発事故で証明されており、再稼働は日本経済社会の脅威です。原発からいち早く脱却し、自然エネルギーに大きく舵を取る政治判断が求められています。

注1)2012/3/19 プレスリリース:福井県民の約7割が「再稼働に不安」

注2)再稼働意識調査まとめ




国際環境NGO グリーンピース・ジャパン