枝野幸男経済産業大臣は14日、定期検査で停止中の関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働への協力を西川一誠知事らに要請するため、福井県庁を訪れました。これに合わせ国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、福井県庁前で抗議のバナーを掲げ、今の安全審査では、とても地元要請に来られる段階ではないとして、再稼働にむけたプロセスの停止を訴えました。

福井県庁を訪れた枝野経済産業大臣を乗せた車の到着に合わせ、グリーンピースのスタッフは福井県庁前で、福井県内などから集まった人々と一緒に抗議し、「えだNO」と書かれた幅約3メートルのバナーを掲げ、周辺自治体や国民の意見を無視した再稼働容認の政治判断は容認できないと訴えました。

グリーンピース・ジャパンのエネルギー担当、高田久代は「グリーンピースが3月下旬に行った福井県民を対象とした意識調査(注1)でも、約7割が『再稼働に不安』、『政治判断は性急すぎる』と答えており、大飯原発で福島第一原発のような事故が起きた場合に放射能被害を受けるリスクについても、住民は知らされていません。また福島第一原発事故以来、おおい町民を対象とした原発事故が起きた際の避難訓練は一度も実施されていないこと、そしておおい町民も福井県民も、原発の再稼働について意思を問われていないのが現状です」と語りました。

そして「原子力安全委員会の班目春樹委員長は、安全性の確認にはストレステストの1次評価だけでは不十分と指摘しており、事故が発生した時に影響を受ける可能性のある他の自治体と適切な協議もなされていません。こうした自治体や国民の理解を得る前に、たった4人の閣僚による判断で再稼働を決めるというのは、安心して生活できる国民の権利を脅かすことにもなります」と訴えました。

さらに、「政府は再稼働を焦るあまり、同意や理解を必要とする地元の範囲を狭く限定しようとしています。しかし原発事故の影響を受ける可能性がある範囲は広範囲にわたるため、原発再稼働に関する意思決定には、リスクのある全ての地域と住民の声を聞き、反映させることが必要です」と続けました。

グリーンピースは全世界が教訓とすべき福島の原発事故に注意深く学びながら、今後も原発再稼動停止にむけ「原発フリーの夏」を実現すべく、キャンペーンを展開していきます。

注1)2012/3/19 プレスリリース:福井県民の約7割が「再稼働に不安」



国際環境NGO グリーンピース・ジャパン