市民団体10団体が4月6日、原発被災者・避難者の支援のための法律の早期成立を求め、第二衆議院会館で集会を開きました。福島県や、全国の避難先から福島県民が多数参加したほか、支援者など110人が集結。与野党の国会議員が出席しました。

この集会は、今国会で与党の提出した「東京電力原子力事故の被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律案(以下,「与党案」)」および,野党の提出した「平成23年東京電力原子力事故による被害からの子どもの保護の推進に関する法律案(以下,「野党案」)」の審議が進められていることを受けて企画されました。

集会で、日弁連事務総長の海渡雄一弁護士は「与党案を基本法ととらえ、野党案を妊婦と子どもを守る個別の法案ととらえることができる。両案とも非常に重要。一刻も早く成立させる必要がある」と述べました。福島老朽原発を考える会の阪上武代表は「与党案の基本理念で、健康被害の未然防止が必ずしも明記されていないことは課題。また健康被害への支援が『被ばくに起因する』ものに限るというのは、因果関係の立証を被災者に求めるもので問題」と指摘(注1)。

また、福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)の大城聡弁護士は「自らの意思で避難すること、留まることを選択できる区域を幅広く設定することが必要。年1ミリシーベルト以上の区域を選択的避難区域に指定し、十分な支援を国の責任でおこなうことが必要」と、本日開始された署名運動の内容(注2)を紹介しました。

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンの核・エネルギー担当の鈴木かずえが、東電福島第一原発事故の被災者1,382人から回答を得たアンケート調査(注2)で「無料の内部被ばくの検査」「健康診断の無料化」「健康管理手帳の交付(注3)」など、健康被害の未然防止が強く求められていることを紹介しました。

与党案を取りまとめた谷岡郁子参議院議員は、「現在の福島の状況を踏まえ、憲法の理念を守るために、早急に原発事故被災者を支援する法律の制定が必要」と述べました。また、川田龍平議員が、「まだまだ政府のカベは厚い。実効性のある法律にしていくには世論の後押しが必要。市民もしっかり見守り、声をあげていってほしい」と訴えました。福島みずほ議員は、「避難の権利、とどまる人たちの権利を確立していくために、しっかりとした法律を、党派を超えてつくっていきたい」と述べました。

最後に福島から中手聖一さんが「支援される対象ではなく、原発被害の当事者として、立法の動きを求めていく」と述べました。

共催した団体は、一刻も早く原発事故被災者支援法と子どもを守る法を成立させ、年1ミシリーベルトを超える地域について支援することを制度として確立させ、避難、保養、健康管理など具体的な施策を一刻も早く始めてほしいとしています。

2012年4月3日付「原発被災者支援のための早期立法を求める要望書」参照

注1) 原発事故被害者のいのちと暮らしを守るための立法と国の施策の実現を求める署名

注2)「みんなの健康アンケート」調査結果まとめ

注3) 健康管理手帳制度:被ばく量や健康状態などが記録でき、どこに移住しても提示により医療支援が受けられる。これまでアスベスト労働者を対象した制度や、広島長崎など原爆による被ばく者を対象とした被ばく健康手帳制度がある。

福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)
国際環境NGO FoE Japan
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン