国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは本日22日、今国会で、「東電原発事故被災者保護法案」や「子どもと妊婦を放射能被害から守る法案」が議論されるに先立ち、福島県民を対象にどのような制度が必要かを問う「みんなの健康アンケート」調査のまとめを公表しました(注1)。調査は2月24日から3月12日に実施しました。調査の結果、全体の86%が「無料の内部被ばくの検査」、78%が「健康診断の無料化」、75%が「健康管理手帳の交付」を求める回答となり、政府に放射能による疾病の“予防策”を強く求めている姿が浮かび上がりました。

調査は、2月24日に福島民報(福島県全域)にアンケート用紙を折り込みで25万部配布、1,382人が回答しました。アンケートでは、「健康やくらしを守るうえで、国による、どんな制度が必要だと思いますか?」という問いに対し、以下の10項目のうち必要だと思われる制度について○をつけてもらいました(複数回答可)。結果は以下の通りです。

「無料の内部被ばく検査」86%、「健康診断の無料化」78%、「健康管理手帳の交付」75%、「損害賠償のための支援 」70%、「自主避難者を含む、避難者支援」68%、「県民税・固定資産税などの免税」66%、「親子・子ども・妊婦の保養制度」65%、「生活再建のための給付金」56%、「無料の健康相談」53%、「医療の無料化」40%。

また「自由記入欄」には78%に上る1,081人が記入し「一刻も早く、子どもたちの被曝検査をしてほしい」(中通り/女性)、「中通りから母子避難しております。事業者のため、夫は借金を背負ったまま避難は出来ません。家族一緒に暮らせることと家族の健康だけが望みです」(中通り/女性)など切実な声が寄せられました。

グリーンピース・ジャパンの核・エネルギー担当の鈴木かずえは、「避難支援や保養制度を求める声も6割を超えています。病気になったときの医療の無料化も大事ですが、病気にならないように、内部被ばく検査、健康診断、健康管理手帳の交付での健康管理や、避難・保養など予防策を、被災者は求めています。今回の調査結果をもとに、国会議員に放射能健康被害の予防の制度化を求めていきます」と訴えました。

注1)「みんなの健康アンケート」調査結果まとめ

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<調査概要>
調査主体:
国際環境NGOグリーンピース・ジャパンが呼びかけ、事務局となり、「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)」、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の連名を得て実施した。

調査目的:
東電福島原発事故被災者の健康、くらしを守るうえで必要と思われる制度について、福島に住む方を中心にご意見を伺い、ニーズを把握し、現在国会で行われている被災者保護の制度設計に反映させる。

調査内容:
健康、くらしを守るうえで必要と思われる制度について、以下の10項目から選択して○印をつけ(複数回答可)、最も必要と思われるものに◎印をつけるというもの。

「健康診断の無料化」「医療の無料化」「無料の健康相談」「健康管理手帳の交付」「親子・子ども・妊婦の保養制度」「損害賠償のための支援」「生活再建のための給付金」「県民税・固定資産税などの免税」「自主避難者を含む、避難者支援」

なお、項目の設定については、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」その他福島県民の方から助言を得た。アンケート用紙を2月24日、福島民報折り込みチラシとして約25万世帯に配布。また、グリーンピースのサイト上でも実施した。また、裏面には、チェルノブイリ原発事故周辺国であるウクライナの健康を守る制度の概要を示した。(汚染地域を4区域に分けての被ばく低減の支援策など)

調査参加者:
有効回答は1,382通。(うち封書での回答:904通、FAXでの回答:217通、インターネットからの回答:261人)。3月12日午前11時時点。

集計結果の扱い:
現在与党、超党派などで作成されている被災者保護関連法案へ反映させていただくため、本調査のまとめ概要を3月22日、全国会議員にFAXまたは封書にて送信した。また、面談での個別報告も行っていく。



国際環境NGO グリーンピース・ジャパン