保安院の評価結果を原子力安全委員会が確認するのが、この検討会の趣旨ですが、今日の保安院や関西電力による説明では、今後の予定を含むものが多く(今年の9月に設ける水密扉、平成28年から運用を始める免震事務棟、他多数)説明されました。しかし、現在存在しないものは評価できませんし、現在ないものを前提に議論して原発の再稼働の根拠にするなど論外です。
また、福島第一原発を襲った津波の高さが14メートル余であったのにもかかわらず、大飯原発での津波の高さが11.4メートルという想定になっていることが、保安院でのストレステストの意見聴取会のときから問題視されていましたが、それに加えて今回、保安院は「遡上してくる津波については評価していない」との説明をしており、津波の評価や対策ができていないことも明らかとなりました。
一次評価、二次評価を行わなければ総合的な安全評価はできないということは、原子力安全委員長は述べており、本日の検討会でも原子力安全・保安院から「保安院としてもこれから二次評価を行う」と発言がありました。原子力安全委員会は、二次評価をいつ行うのかを問いただすべきであり、それまでは検討会プロセスも凍結すべきです。
傍聴したグリーンピース・ジャパンのエネルギー担当の関根彩子は、「大飯原発の地元福井では、地域の安全と住民の生活をいかに守るかさまざまな立場の人が真剣に考えています。しかし、原子力安全・保安院の評価は不備だらけであり、原子力安全委員会もその点を厳しく追及できておらず、この検討会が本当に地域の暮らしの安全確保とは程遠いものです」と強く批判しました。
さらに、「グリーンピースは原子力安全委員会が、(1)ストレステストとその評価は、福島第一原発の事故を踏まえて行われるべきと明言すること。(2)一次評価の不備については徹底して差し戻すこと。(3)一次、二次評価を含めて安全評価となることを再確認し、二次評価の実施と提出について事業者と保安院に問いただすことが不可欠であると考えます」と強調しました。
グリーンピースは全世界が教訓とすべき福島の原発事故に注意深く学びながら、今後も原発再稼動停止にむけ「原発フリーの夏」を実現す べく、キャンペーンを展開していきます。
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国際環境NGO グリーンピース・ジャパン