本日開催された第8回ストレステスト意見聴取会は、第8回にしてストレステストの実施とその評価および判断基準の不備が指摘され、位置づけや信頼性が依然問われるまま審議を終了しました。国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、大飯原発の安全性に関する十分な審議も行われず、住民の意見も反映されていないとして政府と関西電力の大飯原発をめぐる再稼動の動きを批判しました。

今回の意見聴取会では、先の国際原子力機関(IAEA)調査団の勧告も議題にのぼり、福島第一原発のような事故を起こさないための判断基準が大飯原発のためにどのように設けられ適用されているのか(地震動の評価、津波の高さ)が不明であることや、IAEAが「保安院は、総合的安全評価の実施または審査において何を期待するのかを明確にするべきである」と述べたことについて、委員からも対応の必要性が指摘されました。

また、保安院はIAEAに対し一次評価と二次評価をあわせて初めて総合安全性評価が完結すると説明しており、委員からも「一次評価での議論を聞いているとこれが次の大飯3号機と4号機の運転再開につながるようなものであるとすればギャップがありすぎる」との指摘や「評価としては一次と、二次合わせて完結するものであり、それを予定の昨年12月までに提出していない事業者は不誠実」「全体の安全性を考えない事業者の姿勢を批判しないと規制当局としての保安院の役割は果たせない」との厳しい意見が出されました。

グリーンピースのキャンペーン・マネージャー花岡和佳男は「IAEAは大飯原発の評価についてお墨付きを与えたわけではないことが今回の聴取会でも確認されました。政府は、電力会社の利益ではなく、住民の安全性を最優先させるべきです。厳密で客観的な判断基準、中立な委員、そして二次評価も合わせた総合的なテスト結果もないまま、大飯原発の再稼動をすすめるのは論外で、それは大事故の再来につながるものです」と強く批判しています。

本日、グリーンピースは、意見聴取会の開催場所である経済産業省別館前で「忘れていませんか?市民の『目』」というメッセージを掲げました。「市民の傍聴すら許さない原子力の秘密主義こそが、市民社会による公正な評価や監視を妨げ、大事故そして今日まで続く被災者の苦しみの原因になってきました。情報と安全性の議論を公開できないような発電施設は選ばない、というのが3.11後の社会の意思表示です」と花岡は強調しました。


お問い合わせ:国際環境NGOグリーンピース・ジャパン