国際環境NGOグリーンピースは11月17日、大手スーパーマーケット5社(イオン、イトーヨーカドー、ユニー(アピタ)、ダイエー、西友)を対象にした第2回「冬のお魚調査」(抜き打ちの魚介類商品の放射能汚染調査)を発表いたしました。特に放射能汚染が顕著だったのが、冬のお鍋の代表的な魚である「マダラ」で、複数の店舗でサンプリングした7サンプル中5サンプル(岩手県、宮城県、北海道産)から放射性物質(セシウム134、137)を検出しました。

今回の調査は、対象企業に実施を事前に通達したうえで10月12日から11月8日に実施しました。神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、福島県、宮城県内の各社店舗で、東日本太平洋側と産地表示のある魚介類商品を中心に購入したサンプルを「グリーンピース放射能測定室 シルベク」(注1)でスクリーニング検査後、第三者機関である株式会社エフイーエーシーと株式会社エコプロ・リサーチでゲルマニウム半導体検出器を用いて検査したものです。サンプル数は各社15サンプル、計75サンプルです。

調査結果は大手スーパー5 社全社で、魚介類商品(75サンプル中27サンプル)から放射性物質(セシウム134、137)を検出し、今回も日本政府が定める暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)を下回っているものの、一般に購入できる冬の魚介類商品に放射能汚染がある事実が明らかになりました。(注2)

今回の調査で汚染度が最も高かった検体はユニー(アピタ)戸塚店で購入した北海道産の「マダラ」で、1キログラム当たり47.3ベクレルでした。また、国内で広く流通されている「メバチマグロ」は複数の店舗でサンプリングした5検体中全て、「カツオ」も5検体中全てから放射性物質を検出しました。

また今回の調査では、缶詰(サバの水煮、国産)からも放射性物質を検出しました。缶詰など加工商品は鮮魚と比較して表示義務が甘く、店頭ではこの缶詰の原料が何サバなのかも、いつどの海域で獲られた魚なのかも購入時に把握できない状態にあります。

今回の調査においてイオンでのサンプリングは10月12~13日に実施しましたが、同社は11月8日に、グリーンピースや消費者からの需要に応える形で、放射性物質の自主検査における品目数の拡大と、政府の安全基準よりも厳しい独自の流通基準の導入を発表しています。グリーンピースはこれまでイオンだけでなく調査対象小売企業5社と対話を続けており、魚介類商品の放射能汚染への対応の強化を要請してきました。11月24日には、5社における魚介類商品の調達方針に関する聞き取り調査の結果を、ランキング形式で発表する予定です。

グリーンピース・ジャパンの海洋生態系問題担当の花岡和佳男は、「放射能汚染された魚介類は依然広く流通に出回っています。本来は食品安全の保障や水産業の回復に努める立場にある日本政府が頼りないいま、消費者の内部被ばくや水産業の“風評”被害による影響を低減させるカギは、魚介類商品の一大流通経路の川下に位置するスーパーマーケットが握っています」と話しています。

注1)グリーンピース放射能測定室「シルベク」の詳細
注2)調査結果


お問い合わせ:国際環境NGOグリーンピース・ジャパン