山口県新南陽市の東ソー株式会社南陽事業所で11月13日15時20分頃、塩ビモノマーの製造工場が爆発・火災が発生しました。この事故について国際環境NGOグリーンピースは、発がん性のある塩ビモノマーなどの放出のほか、その燃焼によるダイオキシンの発生の可能性が高く、東ソーと県は早急な情報開示と調査を行う必要があると警告しました。

プラスチック製品などに使用される塩化ビニルは有機塩素化合物の一種であり、原料の塩ビモノマーの製造時にダイオキシンを発生させるプロセスを伴います。今回の爆発・火災時に塩ビモノマーの燃焼が起こっていれば、ダイオキシンをはじめとする有害性の高い化学物質の発生、放出が懸念されます。また、塩ビモノマー自体も発がん物質であり(注1)、環境省も国内の環境中でも発がんリスクが高い可能性があるとしているものです。

現在までに、東ソーのプレスリリースでは、塩化水素ガス放出が示唆されているのみですが、グリーンピース・ジャパンの事務局長佐藤潤一は、「事故の詳細、塩ビモノマーをはじめとする放出の恐れのある物質名および、ダイオキシンなどの発生の可能性についても、同社および山口県は速やかに情報を公開し、周辺地域に注意喚起すべきです。また、ダイオキシンの発生、海域を含む周辺環境への汚染状況について詳細な調査を実施する必要があります」と述べました。

*注)塩ビモノマーは、がん研究において国際的に権威のある国際がん研究機関(IARC)の評価で、ヒトに対して発がん性がある(Group1)にランクされている化学物質。



お問い合わせ:国際環境NGOグリーンピース・ジャパン