ユニクロ、有害化学物質の排出ゼロを目指すと宣言 ――グリーンピースの有害化学物質削減キャンペーンで――
国際環境NGOグリーンピースは、2011年7月から世界的なスポーツ・衣料品ブランド30数社に対して、有害化学物質による水汚染をなくしていくキャンペーンを展開しています。これを受けて、衣料品店「ユニクロ」を展開する株式会社ファーストリテイリングは8月12日、「危険化学物質」の排出ゼロを目指すと同社ウェブサイトで発表しました(注1)。

グリーンピースが展開する「デトックス・ウォーター」キャンペーンの対象企業には、ユニクロが唯一の日本企業として含まれており、これまで何度も同社と話し合いを重ねてきました。

グリーンピース・ジャパン担当者の高田久代は、「グリーンピースは、今回のユニクロの発表を日本の衣料品メーカーとして画期的なものと歓迎します。同社が今後、プーマやナイキのように目標年を顧客に明示し、業界のリーダーとして具体的な行動を続けることを期待します」と語りました。

これまでグリーンピースは、アディダスやナイキなど世界的なスポーツ用品メーカーおよびH&Mやユニクロなど大手衣料品メーカーと取引実績のある、中国の繊維加工工場2カ所で採取した排水サンプルを調査し、残留性や生物濃縮性のある重金属や環境ホルモンなどの有害化学物質が検出されたことを今年7月に報告していました。(注2)

さらに8月23日に発表したグリーンピースの新しいレポート『ダーティーランドリー2』では、ユニクロを含む世界的なスポーツ・衣料品ブランド15社の製品を検査した結果、78サンプル中52サンプルから有害化学物質(ノニルフェノールエトキシレート)を検出したことを発表しました(注3)。

こうしたキャンペーンの結果、対象企業となっているプーマは、2020年までに、自社製品のすべての製造過程において有害化学物質の排出ゼロを目指すとし、目標実現のための工程表を8週間以内に発表するとしました(注4)。また、ナイキも8月17日、2020年までに同社のサプライチェーン全体で、製品ライフサイクルの全般において、すべての有害化学物質の排出をゼロにし、消費者の知る権利を尊重して生産過程で使用・排出される化学物質の量を、生産拠点ごとに公表することを宣言しました(注5)。

「いま、衣料品のほとんどがアジアの途上国で作られています。プーマやナイキは『2020年までに有害化学物質ゼロ宣言』をし、大手グローバル企業として、製品の製造過程にも責任をもつことを顧客に約束しました。ユニクロの発表も、日本有数の衣料品ブランドとして、中国などアジアでの環境汚染を減らすうえで意義深い一歩です。同社が宣言をいかにすばやく実行に移していくか、今後の取り組みがますます注目されます」と、高田は続けました。

注1)ユニクロ発表「当社グループの危険化学物質の排出削減・撲滅に向けた取り組みについて」
注2)グリーンピース・レポート『Dirty Laundry』(2011年7月13日発行)
注3)グリーンピース・レポート『Dirty Laundry II: Hung out to Dry』(2011年8月23日発行)
なお、今回検出された化学物質のレベルは、着用により直接健康影響を与えるものではありません。
注4)プーマ社の発表
注5)ナイキ社の発表



お問い合わせ:国際環境NGOグリーンピース・ジャパン