子供たちの内部被ばく検査の強化を国や県に要請
子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
国際環境NGO FoE Japan
グリーン・アクション
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

上記6団体は6月30日、参議院議員会館(東京都千代田区)で「福島の子どもたちの尿検査結果について」会見し、検査の結果、福島市に在住の子供たちの尿からセシウムが検出されたことを発表しました。(注1)

検査対象者は6歳から16歳の男子6名、女子4名の合計10名で、すべての対象者が、東京電力福島第一原子力発電所の事故当時、福島市内に在住。3月23日に山形県へ避難した1名を除き、採尿時まで福島市内に在住しています。

5月20日から22日の間に350から500ミリリットルを採尿し、フランス原子力安全機関(ASN)認定を受けているアクロ研究所(フランス)で高純度ゲルマニウム半導体によるガンマ・スペクトロ・メトリでガンマ線分析をしました。

その結果、10人中10人の尿からセシウム134(半減期2年)、セシウム137(半減期30年)が検出されました。このことは、福島市周辺の子どもたちにきわめて高い確度で内部被ばくの可能性があることを示しています。しかし今回の検査結果から、内部被ばく量を推定することは難しいことから、6団体は、尿検査、ホールボディカウンター等を用いた内部被ばく検査を、国や県の責任で行うことを要望しました。

「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」代表の中手聖一さんは会見で、「東電の原発事故で、福島の空気、水、土が汚染されたことはわかっていた。今回、人間が、子どもたちが汚染されていたことがわかり、覚悟はしていたもののショックだ。今回の検査結果を今後の子ども被ばく低減化に生かしていきたい。国による内部被ばく検査も始まるが、検査の目的は被曝低減化でなければならない」と訴えました。

またベラルーシの子どもたちのホールボディカウンター検査なども関わってきたアクロ研究所理事長のデービット・ボアイエ氏は「尿の検査だけでは被ばく量を推定することはできない。ホールボディカウンターによる包括的な組織的な検査が必要だ。そのとき、食生活や行動の習慣を聞き取ることで被ばくの低減に役立てることができる」と述べました。

「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」では、アクロ研究所の協力により、1か月後に再度尿検査を行い、その後の状況を経過観察し、内部被ばく軽減化に役立てるとしています。そして6団体では、日本政府と福島県に対し、福島県内の希望者全てに対して尿検査およびホールボディ検査を行うこととその結果の本人・保護者への提示を求めています。

注1) 福島の子どもたちの尿検査結果
http://p.tl/0I5k

福島の子どもたちの尿検査結果について

検査対象者
「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」(略称:子ども福島)のメーリングリストで応募した6歳~16歳、男子6名、女子4名の合計10名(先着順受付)。
全ての対象者が福島原発事故当時、福島市内在住。1名(3/23に山形県内へ避難)を除き採尿時まで福島市内に在住。
検査方法
5月20日~22日の間で採尿(350~500ml)
仏ACROで高純度ゲルマニウム半導体によるガンマ・スペクトロ・メトリにてガンマ線解析(2011年)
検査結果
別紙ACRO報告書を参照(http://p.tl/QOK8)

サンプルNo
性別・年齢

Cs-134

(Bq/L)

Cs-137

(Bq/L)

行動状況

U-1

男・9歳

1.04

1.22

3/14水汲み30分、15~18屋内。4/5~学校始まり週3回サッカー練習2.5h、徒歩で通学。マスクせず。

U-2

男・16

0.76

0.78

3/14中学校校庭で数時間。15は屋内、16合格発表を見た後屋内。部活は文化部。

U-3

男・6

0.76

0.62

3/13,14,15,16は福島市内で屋内(木造)

U-4

女・8

0.41

0.43

3/13川俣町へ、14,15,16は福島市内で屋内(木造)

U-5

女・9

0.91

0.93

3/14水汲み1h、15自転車で買い物2h、16~閉め切り屋内で。マスク着用。

U-6

男・6

0.80

0.88

3/14川へ水汲み10回。17外遊び1h。3/23~山形へ避難。

U-7

男・7

1.00

1.30



U-8

女・8

1.13

1.19

6/13、14外遊び数時間、15外で2時間(マスク)、16屋内、17ガソリンスタンドで並ぶ車窓全開、18外で2h

U-9

女・8

0.70

0.90

3/11震災後飯坂へ。部屋の移動時に外へ出る。時々外へ。

U-10

男・13

1.06

1.22

3/13~16の間1日おきに水汲み1h、4/20~部活で毎日3h外で練習、土曜も練習3h。自転車通学30分、マスクせず。3/20~27までは仙台市に避難。

検査結果を受けての保護者からの意見・要望

[Aさん]
一番言いたい事は、被爆している実態があるのだから避難させてほしいということです。チェルノブイリでの高濃度汚染地帯と同じ福島市は移住の権利が与えられると思います。子供を家族と離して疎開させるのは反対です。何かあった時にそのまま一生会えないかもしれない。大人も一緒に生きて子供の成長を見守りたいです。どんな言葉で伝えればいいかわかりません。でも、避難させてほしい!それだけです。

[Bさん]
結果を息子に説明したところ、あんなに嫌がっていた転校もなぜ必要か納得しました。部活もなぜ危険か理解したようです。数字は残酷でもありますが、現実を受け入れること、先を考えるためには重要な要素です。多くの部活に熱中している中学高校生に検査を受けてほしいです。学校関係者にもしっかり理解していただき、必要以上の屋外活動を即刻やめてほしい。
このままの学校活動では1〜气V-ベルトなんてすぐに超えます。科学的な数字での説得が多くの方を救うと実感しました。うまくまとめられませんが、よろしくお願いします。多くの子供達に夢ある未来を残してあげたい

[Cさん]
たった一人でも、子供を不幸にしない為には疎開しかないと思いました。被曝からの安全を宣言出来ない場所に子供を居させられない。毎日、近所の通学路で子供達を見るのが苦痛です。自主避難に対して、国,県,市がサポートすべきです。
今回の検体10人の親御さんは、かなり意識の高い方達だと思いますが、10人とも内部被曝しています。この結果に、我が子が心配になるのが親の心理でしょう。避難、疎開を考えるキッカケになるので良いんですが。もっと気にして、調べて、悩んでいきましょう。大きな声も出してみなきゃ。
息子達を疎開先で、放射能排出の為に良さそうな事は何でもやって見ます。でも、疎開も避難も出来て無い子供はどうなるでしょう?地産地消の給食なんか当然無料、通学路も校舎も放射能は安全の保障無し。そして、確実に内部被曝しています。今までも、これからも…。親御さん達は、今の時点ではホールボディカウンターよりも尿検査したいでしょうね。

[Dさん]
福島第一原発が爆発した日、官房長官は『直ちに影響はありません』と言い張りました。あれからまだ3ヶ月しかたっていません。国の言葉を信じた私がバカでした。おかげで一番愛してやまない子供達に内部被爆という恐ろしいものをさせてしまいました。今回の尿検査でガンになる確率は低いにしてもバッチリ影響がありました。10人の子供達が受け10人と言う確率!国は福島県の子供達を100%保証し避難させるべきです。
そして県知事は野菜や風評被害ばかりに目をむけて子供達のことは後回ししていました。これからの福島の未来をしょって立つ子供達をなぜ放っておくのでしょう?今も子供達の身体にはどんどんたまっていってしまいます。未来を守る子供達が少なくなってしまいます。知事は直ちに福島の子供達を保証し避難、疎開させるべきです。 もし、我が子になにかあったら私はあなたを許しません。
菅総理!政府の皆さん直ちに影響が出ないなら福島に住んでみるなりしてみたらどうでしょう?もちろん貴方一人ではありません。家族全員連れてです。会見でそこまで安全宣言だすのなら明日にでも福島に引っ越ししてください。そうしたらきっともっと理解するでしょう。自分の身さえ守られればなんて国を守る長として情けない話です。

[Eさん]
この度は検査の機会に恵まれて本当に感謝いたします。セシウムとかまさか福島市まで来ているとは思いたくないのと、検出されないことを祈っていたのが本心でした。検出された事実がわかり、ショックですが受け止めたいです。事実がわかった以上、ほかにも何か物質がないか、詳細な検査も希望します。もし日本の機関がダメなのであれば、海外(飛行機だと被曝してしまうのがネックですが)もアリかもしれません。チェルノブイリの事例を引き合いに、私たちの置かれている立場をはっきりさせ、福島の無関心な親の目を被曝問題に向ける為にも派手なアクションが必要です。結果的に子供が疎開できるようになれば、福島の子供たちの未来ひいては日本の未来につながり、いまが踏ん張りどきだと思います。一ヶ月でもいいから、学校ごと友達と一緒に合宿のような感覚で各地の廃校や空きクラスなど借りて、放射能から身を守ることが必要と考えています。政府が目を反らしている問題に、このまま風化させてはいけないと思います。福島市は60キロ離れていましたが、距離は関係なく、被曝の量も1であれ10であれ取り込んだことには変わりなく、圏内の浪江だけではなくて北西方向のホットスポットがあることも考慮するならば私たちの子供もホールボティカウンターを受ける権利があるはずです。

お問い合わせ:国際環境NGOグリーンピース・ジャパン