国際環境NGOグリーンピースは本日5月6日、同団体の調査船「虹の戦士号」(オランダ船籍、555トン)を使用した福島第一原子力発電所周辺における海洋調査について、日本政府から許可が下りた領海外(沖合約22キロより外)でのサンプリング調査を終了いたしました。

虹の戦士号は5月3日から福島県沖での海洋調査を開始し、日本政府が許可した範囲(領海外)で主に海水のサンプリングを行いました。4月20日にオランダ政府を通じて日本政府に申請していた調査計画では、領海内での海水、底質(海底土)、水産物の調査を含むものでしたが、日本政府より領海内での調査許可が下りなかったこと、また領海外での調査にもさまざまな条件が課せられていたことから、十分な調査ができずに調査を終了せざるを得ませんでした。「虹の戦士号」は、より汚染の深刻な沿岸海域での海洋調査が必要であることを訴えるため、茨城県沖を南下し東京湾沖に向かっています。

グリーンピース・ジャパン事務局長の佐藤潤一は、「今回の調査でもっとも明らかになったことは、東電と政府が海洋汚染をできる限り隠そうとするその姿勢でした。グリーンピースは、海洋汚染の実態を、しっかりと調査し世界に公表することが、海洋環境への汚染を最小限に食い止め、さらに風評被害を防げることにつながると考えます」と語りました。

政府と東京電力は、グリーンピースが行うとしていた海底の土の調査を4月29日に初めて実施。その結果、東京電力は5月5日付けで、福島第一原子力発電所の防波堤内の海底で採取した土から、1キログラム当たり8万7000ベクレルの放射性セシウム137を検出したと発表しています。(注1)

また、佐藤潤一は、「東京電力は最近になって、海底の土から高濃度の放射性物質が検出されたと発表しましたが、グリーンピースが海底の土を調査すると申請していなかったら、そもそも調査していたかも疑問です。」と訴え、「環境汚染や安全を第一に考えているのであれば、データが足りなくて困ると思っても、データが多すぎて困るとは考えないはずです。より汚染が心配される沿岸域でのNGOや第三者による調査は必要不可欠です。」と語っています。

今回、グリーンピースが領海外で行った調査結果については、来週に記者会見を開いて発表する予定です。

注1)東京電力が発表した海洋調査の結果
5月3日発表資料
5月5日発表資料

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