グリーンピースは本日5月3日、同団体の調査船「虹の戦士号」(オランダ船籍、555トン)を使用した福島第一原子力発電所周辺における海洋調査について、日本政府から許可が下りた領海外(沖合約22キロより外)での調査を開始しました。「虹の戦士号」は「がんばれ日本、まもろう海と漁業」と書かれた巨大なサインを船体に掲げながら、茨城県沖を北上しながら、午前6時20分より海水の採取をはじめています。
グリーンピースは、「虹の戦士号」の船籍国であるオランダ政府を通じて、福島第一原子力発電所周辺の海域で、海洋の放射能汚染を調査するための調査計画を日本政府に提出し、調査許可を求めていました(注1)。この調査では、海水、底質、海棲生物(魚、海藻、貝類を含む)のサンプリングを広範囲に行い(注2)、放射能汚染の測定と核種分析を行うことを計画しています。しかし、日本政府が27日付けでオランダ政府や、28日付でグリーンピースに伝えた許可内容は(注3)、領海内での調査を認めないもので不十分なものです(注4)。グリーンピースでは、引き続き日本政府に対し領海内での海洋調査許可の再考を求めていく方針です。

グリーンピース・ジャパン事務局長の佐藤潤一は、「限られた条件ではあるが、ようやく調査がはじめられました。放射能による海洋汚染は国際的な関心事で、日本政府だけではなく、独立した第三者の視点でNGOや国際機関が同時に調査をすることが重要です。政府がグリーンピースに領海内の調査を認めないことで、日本が何かを隠そうとしていると思われるのは避けられないでしょう。すぐにでも領海内での調査を認めるべきです。」と語っています。

調査結果は、調査終了後発表する予定です。また、グリーンピースは、この調査を通じて漁師が東京電力に対し補償を求めるときに必要なデータも集めていく方針です。

注1)日本政府に提出した調査計画書(pdfファイル)

注2)グリーンピースの計画する調査海域地図(pdfファイル)

注3)外務省からオランダ政府への許可書(pdfファイル)
農林水産省からグリーンピースへの許可書(pdfファイル)

注4)グリーンピースの海洋調査と政府の対応 (2011年5月1日記者発表資料 pdfファイル)

グリーンピース放射線調査について詳しくはこちら

■ 調査期間
5月3日(火)より1週間程度

■ 調査範囲
日本政府から許可が下りた領海外(沖合約22キロより外)において、福島第一原子力発電所周辺海域を中心に、宮城県石巻港から千葉県銚子港までの沿岸から沖60kmまでの範囲。(警戒区域地域を除く)

■ 調査内容
海水、底質、海棲生物(魚、海藻、貝類を含む)のサンプリングを行い、放射能汚染の測定と核種分析

■ 調査で使用する基準の放射線測定機材
– ベクレルモニター:Berthold
– 汚染モ二ター: H13422 Rados MicroCont, UMO 110
– ガンマ線スペクトロメーター:ICX Identifinder
– 放射線量測定器:Thermo EPD MK2
– 放射能吸収量測定装置:Dosebadge
– 放射線検出器:RADEX RD1706
– 汚染モニター:H13422 Rados MicroCont

■ グリーンピース放射線専門家
– イケ・トゥーリング(グリーンピース・オランダ 放射線安全アドバイザー):オランダ、デルフト工科大学で化学を専攻し、自然エネルギーの修士号を取得。フランスのラ・アーグ再処理工場などで放射能汚染の環境調査に参加した経験を持つ放射線のエキスパート。
– ヤコブ・ナミンガ (グリーンピース・オランダ 放射線安全アドバイザー): オランダ、デルフト工科大学を卒業し、ウクライナ、スペイン、フランスで放射能汚染の環境調査に参加した経験を持つ放射線の専門家。

お問い合わせ:国際環境NGOグリーンピース・ジャパン