国際環境NGOグリーンピースは4月6日、第2回放射線調査において、福島第一原発から30キロ余り北西にある福島県双葉郡浪江町津島周辺で、依然高レベルの放射線量が検知されていることを発表いたします。

グリーンピースが4月4日に行った浪江町津島周辺の調査において、大気中の放射線量が1時間当たり最高で47マイクロシーベルトを記録しました。文部科学省も、この浪江町津島周辺において放射線量の調査を継続しており、4月4日に発表した観測データは、32.7マイクロシーベルトとなっています(注1)。

第1回調査から現地入りしているグリーンピース・インターナショナル放射線安全アドバイザーのヤン・ヴァンダ・プッタは、「私たちが計測しているデータ値は、日本政府と大きな違いはありません。しかし、汚染の全体像や依然とした高い放射線量を考えれば、日本政府が現在設定している避難指示地域や、安全指針はまったく不十分です」と訴えました。

また、4月4日、グリーンピースは福島県南相馬市や農家の了解を得て、農作物の放射性物質の調査を行いました。この調査では、ホウレンソウから1キログラム当たり70,000 – 80,000ベクレル、白菜から1キログラム当たり9,000ベクレルなど高レベルの放射性物質が検出されました。

第2回調査チームのリーダーであるグリーンピース・インターナショナルのエネルギー部門担当のリアナ・トゥールは、「放射性物質による影響は広範囲にわたっている可能性があるにもかかわらず、農家の方に放射性物質の危険性や対処方法について情報が十分に伝えられていないことは非常に問題です。」と述べました。

また、福島県南相馬市の桜井勝延市長は、グリーンピースのインタビューに対して、政府や東京電力からの信頼できる情報が不足していること、そして市民が直面している危険性について的確な指示がないことへの不満を打ち明けました。

南相馬市 桜井勝延市長のコメント:
「東京電力は(事故発生後)11日後にはじめて我々のところに連絡をとるというような無責任な態度です。政府からも、いまだに詳細かつ我々が理解できるような報告がありません。放射能と今後起こりうるであろうリスクについても十分な説明はありません。(東京電力が)来たときに申し上げたのは、責任は今後東京電力の方でとっていただきますということ。ただ情報が圧倒的にないので、情報を提供することをあなた方の義務としてやってくださいと言いました。今後については政府が責任を持って、我々の生活支援も含めて求めていきたいです。」

グリーンピースは、調査データに基づいた科学的な避難指示の実施と避難地域の設定、さらに地域住民への情報・支援提供が必要だと考えます。また今後も、被害を受けた住民が東京電力に対して損害の補償を求める際に役立つ証拠を独立した立場で集めていく予定です。

(注1) 2011年4月4日13時に文部科学省が公開した報告書

<第2回調査概要>

■ 調査範囲
福島第一原子力発電所の北西地域(避難指示地域を除く)における放射線量や、水や牛乳、野菜などの食品の調査を数日間行います。

■ 調査期間(予定)
4月4日(月)~4月11日(火) 8日間

■ グリーンピース第2回放射線調査チーム
リアナ・トゥール(オランダ出身、チームリーダー):
グリーンピース・インターナショナル エネルギー部門担当で放射線の専門家

トーマス・ブリュアー(ドイツ出身):
グリーンピース・ドイツ 気候変動・エネルギー部門チームリーダー

ヤン・ヴァンダ・プッタ (ベルギー出身)
グリーンピース・インターナショナル放射線安全アドバイザー

■ 調査で使用する基準の放射線測定機材
– ガンマ線スペクトロメーター:GEORADIS Identifier RT-30 (Super Ident)
– ガイガーカウンター:Radex RD 1503
– 汚染モ二ター: RADOS MicroCont
– ガンマ線スペクトロメーター:Exploranium GR-135
– LB 200ベクレルモニター
– ガイガーカウンター: Radex RD 1503, RadAlert
– コンタミネーションモニター: RADOS MicroCont, Berthold UMO

お問い合わせ:国際環境NGOグリーンピース・ジャパン