三菱商事の完全子会社で英国内でのツナ缶トップシェアの食品会社プリンシズと、米ウォールマート傘下大手スーパーマーケットのASDA社の両社が3月9日、海洋資源の保全を意図する魚介類調達ポリシーを発表しました。
国際環境NGOグリーンピース(事務局長:クミ・ナイドゥ、本部:オランダ・アムステルダム)の働きかけで、三菱商事の完全子会社で英国内でのツナ缶トップシェアの食品会社プリンシズ(Princes Limited 本社:英国リバプール)と、米ウォールマート傘下大手スーパーマーケットのASDA社の両社が3月9日、海洋資源の保全を意図する魚介類調達ポリシーを発表しました。

この調達ポリシーは、2014年までにプリンシズ社のツナ缶の原料となるすべてのマグロを、1)一本釣り、2)人口集魚装置(FAD)を使用しない漁法によって獲られたもので賄うとしています。また、プリンシズ社は太平洋の周囲を排他的経済水域(EEZ)に囲まれた「公海ポケット」で獲れたマグロを扱わないとしています。グリーンピースはこれまで数カ月間に渡り、プリンシズ社に対して持続可能な魚介類の調達方針を設定するように働きかけてきました。

グリーンピースが作成したマグロ調達方法の持続可能性を評価したランキング表(注1)では、プリンシズ社製品は低い評価がなされていました。このランキング発表後数カ月間で、プリンシズに8万通を超える市民からのメッセージが届き、今回の決定に至りました。

グリーンピースは現在、世界16カ国で魚介類を扱う市場に対し、漁業の持続可能性を担保する魚介類の取り扱いを求める活動を展開しています。先日も、アメリカの会員制大手スーパーマーケットのコストコ(Costco)が、クロマグロや大西洋タラなど、資源状態が悪化した魚介類12種について、今後の仕入れを中止する調達方針を定めました。

グリーンピースの海洋生態系問題担当の花岡和佳男は、「まき網やFADは幼魚や漁業対象でない魚種までも一網打尽にしてしまう、混獲率の高い破壊的な漁法」と指摘しました。そのうえで、業界大手であるプリンシズ社やASDA社による今回の漁業の持続可能性へ向けた一歩を歓迎すると共に、「日本でも海の環境への負荷に関する消費者の意識は徐々に高まってきている。今こそ業界を代表する企業は、先陣を切るときだ」と訴えました。

グリーンピースは日本国内で小売りや外食の大手企業を対象に、魚介類を取り扱う基準や方針について現在調査中です。この調査結果の評価を行い、ランキング表にしてこの4月に公表する予定です。総合スーパー、食品スーパー、居酒屋、回転寿司の各業界大手企業がランキングの対象となっております。

注1:ランキング表(英語)


お問い合わせ:国際環境NGOグリーンピース・ジャパン