南極海で実施している日本の調査捕鯨について、日本政府が例年よりも早期に調査船団を帰国させることを検討していることが明らかになりました。
2月16日付時事通信の報道によると、南極海で実施している日本の調査捕鯨について、日本政府が例年よりも早期に調査船団を帰国させることを検討していることが明らかになりました(注1)。

グリーンピースは2010年12月、クジラ肉の需要低下や燃料代の高騰で、調査捕鯨団の帰港予定が例年3月から早まる可能性が高いとの情報を公表しました(注2)。今回の報道はこれを裏付けるかたちとなりました。2009年には、キャッチャーボートを護衛船に転換し、給油船を解体・廃棄するなど調査捕鯨の規模縮小が進んでいます。

水産庁の冷蔵水産物流通統計(注3)によると、クジラ肉の在庫量は10年12月で5093トンと、12月としては過去最高を記録するなど、クジラ肉在庫がだぶつき気味であることが知られています。また、2009年のマルポール条約による高価な燃料への切り替えなどで費用負担が重くなり、存続を含めて調査捕鯨は事業見直しの時期に差し掛かっています。

日本政府は時事通信の取材に対して、早期帰港は反捕鯨団体による妨害行為が激化しているためで、早期終了すれば調査自体に影響が出るなどと弁明しています。

グリーンピース・ジャパンの事務局長・佐藤潤一は「日本政府は反捕鯨運動を早期帰港の原因としているが、実際には『調査捕鯨』という名の商業捕鯨の採算性と継続性の前提が破たんしたという結果です」と説明しています。(終)

(注1)2011年2月16日、時事通信「調査捕鯨船団の早期帰国も=SSの妨害受け検討-政府」
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2011021600022

(注2)2010年12月1日、グリーンピース・プレスリリース「南極海の調査捕鯨規模大幅縮小か」
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/archives/pr20101202_html/

(注3)水産庁水産物流調査
http://www.market.jafic.or.jp/suisan/file/reizo/2010/09_syuyou_2010_12.pdf

お問い合わせ:国際環境NGOグリーンピース・ジャパン