22日、水産庁が記者会見を開き、調査捕鯨船の運航会社である共同船舶株式会社(以下、共同船舶)から水産庁の職員が無償でクジラ肉を受け取っていたとして謝罪するとともに、関与した職員5名を懲戒処分としたことを発表しました。この発表を受けて、グリーンピースは毎年調査捕鯨に費やされている約8億円の補助金廃止と、いまだに十分ではないクジラ肉不正のさらなる追及調査を求めていきます。

グリーンピースは、2008年に調査捕鯨船におけるクジラ肉の組織的な不正を指摘。船員の自宅に配送された23キロ以上にもなるクジラ肉の高級部位を証拠として、調査捕鯨船12名の船員を東京地検に告発していましたが、その12名の船員は不起訴。しかし、その不正を指摘したグリーンピース・ジャパン現事務局長の佐藤潤一とスタッフの鈴木徹が訴追され、今年9月には青森地方裁判所にて懲役1年、執行猶予3年の判決を受けました。2名はこの判決を不服として、現在仙台高裁に控訴中です。

今回、水産庁が認めたクジラ肉不正受け取り行為は、グリーンピースが2008年に行った告発後、さらなる追及によって明らかになった事実です。その後、グリーンピースは、水産庁などにこれら職員の調査だけでなく、クジラ肉不正の全体像を追及する調査を求めてきました。

グリーンピース・ジャパンの事務局長でクジラ肉裁判の当事者でもある佐藤潤一は、「今回処分された水産庁職員らは、調査捕鯨船の不正を取り締まる役割の漁業監督官。調査捕鯨を監視する立場にありながら、その監視対象である企業からクジラ肉を長年にわたって受け取っていたことは、この調査捕鯨の怪しさを顕著に表している。このようなひもつきの関係は補助金を絶つことで実現すべき」とコメント。

さらに、クジラ肉裁判に関して「グリーンピースが告発した調査捕鯨船員12名は不起訴、水産庁職員は懲戒処分、そして不正を指摘した私たちは懲役刑の刑事罰。不正を指摘することが、不正自体よりも厳しい罰を受けるのは民主的な社会の形成に役立たない。仙台高裁でもこの点を主張し、民主的な市民社会の在り方についてさらなる議論を起こしたい」と抱負を語った。

クジラ肉裁判は、仙台高裁に控訴中。仙台高裁での裁判期日は未定。

お問い合わせ:国際環境NGOグリーンピース・ジャパン