グリーンピース・ジャパン、第14版『環境に優しい電機メーカー・ランキング』を発表 ~ノキアが首位を維持、日本企業においては、東芝が3位にランクアップ~
2010年2月3日


国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区)は本日、「環境に優しい電機メーカー・ランキング Version 14」を発表しました。このランキングは、パソコン、携帯電話、テレビ、ゲーム機器を製造・販売する日本・アジア・欧米の大手メーカー18社を対象に、各社の有害化学物質、リサイクルおよび気候変動に対する取り組みを以下の3の領域における基準を10点満点で評価したものです。

有害化学物質
有害化学物質を排除することで製品をクリーンにすること
e-ウェイスト
古くなった製品を生産者の責任として世界規模で回収し、再利用すること
エネルギー
世界規模で、会社の創業および製品が気候変動(地球温暖化)に与える影響を削減すること
2009年12月時点
(第14版) 2009年9月時点
(第13版)
ノキア 7.3/10 7.5/10
ソニー・エリクソン 6.9/10 6.5/10
東芝 5.7/10 5.7/10
フィリップス 5.3/10 5.9/10
アップル 5.1/10 4.9/10
LGエレクトロニクス 5.1/10 4.7/10
ソニー 5.1/10 5.1/10
モトローラ 5.1/10 5.3/10
サムスン 5.1/10 6.9/10
パナソニック 4.9/10 4.9/10
HP 4.7/10 4.5/10
エイサー 4.5/10 4.5/10
シャープ 4.5/10 5.1/10
デル 3.9/10 4.7/10
富士通 3.5/10 2.7/10
レノボ 2.5/10 2.5/10
マイクロソフト 2.4/10 2.7/10
任天堂 1.4/10 1.4/10
総合評価

最新版では、7.3点を得点したノキアが第13版同様、首位にとどまり、その後を、18企業のうち唯一、有害化学物質の項目において満点を得点し、総合6.9点を得点したソニー・エリクソンが追っています。第3位には5.3点を得点した東芝が前回の5位よりランクアップしていますが、2010年4月1日までにPVC(塩化ビニル)およびBFR(臭素化難然剤)を排除した家庭用電化製品を市場に投入できなければ減点の対象となるため、次回の動向が注目されます。

前回2位だったサムスンは、2010年1月までにBFRを全製品から排除する約束を、ノートPCの最新機種からは2011年1月まで、そしてテレビと家庭用電気機種からは未定と後退させたため、7位へと大幅に順位を落としました。また、任天堂は第6版よりランキングに追加されて以来、最下位にとどまっています。

多くの企業が2010年までにPVCとBFRの排除を約束し、その中でもアップル、HP、ノキアそしてソニー・エリクソンが、有害化学物質の排除という側面では一番取り組みが進んでいます。

本ランキングでは、有害化学物質に関する基準をより厳しくし、RoHS指令(注1)の改訂中、積極的にPVC、BFR、CFR(塩素系難然剤)などの有害化学物質の使用禁止を促す政治的な意思表示をする、という新たな評価基準を設けました。この項目で得点を得たのはソニー・エリクソンとエイサーの2社のみで、他の企業は得点を落とし、全体的な点数の低下が見られました。

日本企業の取り組み

有害化学物質
日本企業は、PVCとBFRを使用していない、もしくはごく一部にのみ使用した製品を幅広く展開しています。また、有害化学物質を排除するという約束を守らず減点となった米国やアジアの企業と比べて、約束の達成率が高いという特徴も見られます。しかし、一方で排除を約束するまでに時間がかかり、その内容も全体的に海外の企業に比べ取り組みが弱い傾向にあるため、より厳しい目標設定が求められています。

e-ウェイスト
グリーンピースは企業に対し、自社製品により発生したe-ウェイストについて、製品の販売国すべてで廃棄された製品を引き取り、責任を持って再利用・再資源化するよう資金的な責任を負うことを求めているため、 個別生産者責任(Individual Producer Responsibility: IPR)を支持します。したがって、製品の最終的な所有者がリサイクル費用を払う、日本の家電リサイクル法を支持する傾向を持つ日本企業の多くはこの項目で失点し、IPRに対する支持が求められています。自社製品の自主引き取り制度については、全体的に経済協力開発機構(OECD)の非加盟諸国における展開が遅れています。再資源化の側面においては、全体の使用量の10%に相当する17,000トンの再資源化プラスチックを年間、様々な製品に使用したソニーの取り組みが高い評価を得ています。

エネルギー
すべての日本企業が第3者、ないし自社による温室効果ガスの排出量を公表しています。新機種のエネルギー効率においては、どの日本企業もEPA(アメリカ合衆国環境保護庁)の国際エネルギースター用件(注2)に適合するか、それを上回り、大きな得点源となっています。日本企業の中ではじめて自社の生産施設からの温室効果ガス排出を頭打ちにさせる支持することを発表したのは、ソニー、パナソニック、そして東芝です。しかし、日本企業はデルやHP、そしてノキアといった他社とは違い、生産施設を自社で所有しているため、温室効果ガスの削減はより困難になります。

注1)
電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合(EU)による指令
注2)
OA機器の省エネルギーのための国際的な環境ラベリング制度であり、日本の経済産業省とアメリカの環境保護庁(EPA)の相互承認のもとで運営している

環境に優しい電気メーカー・ランキング

お問い合わせ:グリーンピース・ジャパン
広報担当: 安達・大谷・高杉