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青森地裁の第4回公判前整理手続き後の記者会見にて。鯨研と共同船舶は従来、土産として配布されるクジラ肉については共同船舶が鯨研から「買い取った」としていたが、実際には金銭のやりとりはなく、明瞭な会計処理がなされていなかったことが明らかになったと語る海渡雄一主任弁護人
以下、海渡雄一氏の記者会見での説明
5月15日の第三回公判前整理手続において、裁判官は船員によるクジラ肉横領の有無について一切審理しないことは困難であるとの見解を示し、「不必要」として横領関連の証拠の開示を渋っていた検察官に対して関連する証拠開示について再考するよう促していた。
これを受けて、検察官は6月15日までに合計26通の供述調書などを弁護側に開示した。この調書の中には、本件鯨肉が横領されたとして告発された航海において日新丸に乗船していた船員ら6名、共同船舶株式会社(以下、共同船舶)幹部1名、財団法人日本鯨類研究所(以下、鯨研)参事1名、水産庁職員1名らの調書等が含まれている。
これらの開示証拠によって、鯨研と共同船舶は従来、土産として配布されるクジラ肉については共同船舶が鯨研から「買い取った」としていたが、実際には金銭のやりとりはなく、明瞭な会計処理がなされていなかったことが明らかになった。
さらに、開示された証拠の中で、個別のクジラ肉製品の流れについて供述されている重要部分の多くが白抜きで隠されており、船員によるクジラ肉横領の有無を判断する上では十分な証拠開示がなされていない。よって、弁護団としてはこのような検察官の証拠不開示について裁判所の裁定を求める方針。
以上
同記者会見に駆けつけたベルギー、ヘント大学のデレク・フォルホーフ教授(注1)は、このクジラ肉裁判は国際的にも注目されている重要なケースだと語り、「公共の価値のある問題としての情報がどれほど公開されるのか、日本の民主主義の成熟度を測る良いケースとなるだろう」と述べた。明日18日、フォルホーフ教授は青森で「欧州人権裁判所における『表現の自由・知る権利』判例理論の第一人者に聞く――グリーンピース鯨肉事件と『表現の自由』」と題した講演会を行う。
次回の公判前整理手続は8月4日に予定されている。
(注1)デレク・フォルホーフ教授のプロフィールとクジラ肉裁判における同氏の法的見解
ビデオ『クジラ肉裁判――あなたならどうジャッジしますか?』You Tube
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