グリーンピース・ジャパンは、本日、財団法人日本鯨類研究所と共同船舶株式会社の連名で発表された「鯨肉をめぐる問題についての報告書」(注1)について下記のとおり声明を発表した。

本日7月18日、財団法人日本鯨類研究所と共同船舶株式会社は、「鯨肉をめぐる問題についての報告書」を連名で発表した。これは、6月20日に水産庁が命じた鯨肉取り扱いの実態調査の結果とされる。この実態調査は、南極海で行われている調査捕鯨の母船・日新丸の乗組員が塩漬け鯨肉(ウネス)を自宅へ送っていたとして、グリーンピース・ジャパンの星川・佐藤両名が業務上横領の疑いで東京地方検察庁へ告発(注2)したことを受けたもの。

ズーム
「ダンボール」名義の塩漬けウネス
同報告書は、すべてを「土産用」で問題ないとし、さらに「下船時の乗組員への土産用として1人当たり塩蔵ウネス約8kgと赤肉小切約1.6kgを配布してきた」と主張する。しかし、グリーンピースが複数の情報提供者から聞くところによれば、東京地検への告発の証拠品として提出されたような塩蔵ウネスは、解体現場から直接、乗組員の船室に持ち込まれ、乗船前にめいめいが準備した塩で漬け込まれるという。これに対する説明は一切なく、また公式に製造される塩蔵ウネスが数トンもあることは、これまでまったく発表されてこなかった。5月15日の告発前、水産庁は「お土産」の存在すら否定していたのである。

調査捕鯨実施主体であり、同じ建物に同居する日本鯨類研究所と共同船舶とが、疑惑を向けられた鯨肉の取り扱いについて客観的かつ正確な調査ができるとは考えにくい。調査の対象となるべき捕鯨船団は6月に北西太平洋に出航ずみで、8月中旬まで戻ってこない。グリーンピースは、大きな活字で正味2枚しかないこの報告書に、苦しいつじつま合わせの努力以外の価値を見出せない。

注1:日本鯨類研究所メディアリリースのリンク「鯨肉をめぐる問題についての報告書」
注2:鯨肉横領についての告発レポート『奪われた鯨肉と信頼-調査捕鯨母船・日新丸での鯨肉横領行為の全貌』 ダウンロードサイト(PDFファイル 2.3MB)

お問い合わせ:
特定非営利活動法人グリーンピース・ジャパン
広報マネージャー 城川桂子
広報担当 村上京子