【北海道洞爺湖】ブッシュ大統領主導の「主要経済国会合」(MEM)が、7月9日、G8首脳会議と平行して開催される。グリーンピースは「拘束力のある排出削減目標を阻むために企てられた茶番劇に、世界は目を奪われてならない」と警告した。温暖化の影響を一番ひどくこうむる国々を欠くMEMは国連交渉をも台無しにする。

モルディブ共和国は、小島嶼国は生存が脅かされているにもかかわらず、MEMにはこれらの国々が招待されていないとし、本日、G8各国首脳に対し果断な行動をとること、そして2020年までに少なくとも30%の排出削減を拘束力のある目標として公約するよう求めた。声明は以下のとおり。

「洞爺湖サミットで主要国首脳が討議を重ねているさなかにも、インド洋の低海抜小島嶼国に暮らす私たちは、気候変動の現実の脅威に直面しています。事態は切迫しており、一刻の猶予も許しません。海面上昇が何を意味するのか、私たちは承知しています。メディアが『極端な異常気象が発生』と報じるとき、それは私たちにとって多くの場合、現実に起きている悲劇――生命と生活の喪失――であり、『ニュース』ではありません。気候変動による影響を一番ひどくこうむるのは私たちです。それゆえ、従来のエネルギー需給のあり方から、自然エネルギーとエネルギー効率向上を主柱とする“エネルギー革命”へと舵を取り直す必要性をだれよりも分かっています。私たちはG8各国がその責任を果たすことを期待しています。なぜなら、今日の大気中に存在する温室効果ガスの80%以上は、これらの国々が排出してきたものだからです。G8各国が行動すること、それも果断に行動することが、地球の未来を決定づけるでしょう。G8各国は(工業化前から)世界の平均気温の上昇を2℃未満に、それも可能な限り低く抑えることを約束しなければなりません。そして温室効果ガス排出を2020年までに少なくとも30%削減するよう、先進国を導かなければなりません。私たちにとって、これは単に数字の問題ではなく、文字どおり死活問題なのです。国連は、2009年にコペンハーゲンで開催される気候変動枠組条約締約国会議において、この惑星を救う行動計画を出すことをめざしています。危険な気候変動から地球を守るのは急務であり、ぐずぐずしている余裕は残されていないのです。世界は洞爺湖サミットを注目しています。気候変動の影響に、日々、身をさらしている私たちは、G8各国が揺るぎない行動をただちにとることを期待しています。」

グリーンピースは、7日、タイ・ソンクラのサミラ海岸で、G8各国首脳が行動しないでいると、どのような事態を招くかを示し、気候の保全とエネルギー革命の必要性を訴えた。同海岸とそこに立つ人魚像は、温暖化による海面上昇のために水没すると言われている。

「ブッシュ主導のMEMは時間の無駄であり、ブッシュとMEMに対する評価は歴史が下すだろう」とグリーンピース・インターナショナル気候変動政策担当のダニエル・ミットラーは語り、「各国政府は行動を進展させるような、実りある会合をもつべきだ。こうした会合には、温暖化の影響をいままさに目の当たりにしている国々、とくに最貧国や小島嶼国の出席が求められなければならない。気候変動の脅威にもっとも脆弱な国々を欠いた会合では、2009年に控えた国連のコペンハーゲン会議に向けて、実効力のある真の国際合意は得られない」と批判した。

1)詳しくは下記を参照:
「ブッシュ主導の『主要排出国会合』(MEM):展望なき温暖化対策 」〔PDFファイル 25.3 KB〕
2)もっとも保守的な予測でも、21世紀末までに海面が現在に比べておよそ40cm上昇すると見られている。これにより、毎年浸水の被害に遭う世界の沿岸人口は今日の1300万人から9400万人になると見込まれている。その6割は南アジアに集中し、約2割が東南アジア、特にインドネシア、フィリピンを含めたタイからベトナムにかけた地域に集中すると考えている。(Wassmann et al., 2004). IPCC 気候変動に関する政府間パネル、第4次評価報告書 2007 第2部会、第10章、484頁

お問い合わせ:
洞爺湖サミット国際メディアセンター内
ダニエル・ミットラー
(グリーンピース・インターナショナル・気候変動政策担当)
べス・ハーツフェルド
(グリーンピース・インターナショナル広報担当)
鈴木真奈美(グリーンピース・ジャパン気候変動問題担当)

特定非営利活動法人 グリーンピース・ジャパン
広報担当 城川桂子