【東京】 本日、大井水産ふ頭に入港したパナマ船籍のタンカー船オリエンタル・ブルーバード号が積んでいる鯨肉は、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(以下、ワシントン条約)違反の疑いがあるとして、国際環境保護団体グリーンピースは、海上から「ワシントン条約違反Illegal whale meat, Not welcome to Japan(歓迎しません)」と書かれたバナーを掲げ、同船の違法性を訴えた。

積荷の鯨肉は南極海で日本の調査捕鯨母船・日新丸から同船に移送されたもので、近日中に積み降ろし作業が行なわれる模様である。ワシントン条約を批准しているパナマ船籍の船が他国で鯨肉の積み降ろしを行なう場合、ワシントン条約に違反する疑い(注1)がある。グリーンピースは、この積み下ろしについて、パナマ大使館および貿易を管轄する経済産業省へ緊急調査を要請している。

グリーンピースは、オリエンタル・ブルーバード号が、本日9時25分頃に海上保安庁の船に警護されながら大井水産ふ頭に入港するのを確認した。また同船が1月22日には南極海洋上で、日新丸から箱詰めの鯨肉を受け取っているところを、キャンペーン船エスペランサ号から撮影している。

ズーム
大井水産ふ頭に入港したオリエンタル・ブルーバード号(C)Greenpeace / Naomi Toyoda
同船の鯨肉の積み下ろしに関する違法性について、グリーンピースが日本政府に問い合わせたところ、オリエンタル・ブルーバード号によって持ち込まれる鯨肉は同船がパナマ船籍であっても「国内輸送と同じ」とする見解を述べた。この点に関し、国際的には公海から持ち込まれる海産物は輸入品として扱うべきという議論がある。

オリエンタル・ブルーバード号は、調査捕鯨船団のために南極海から日本まで鯨肉を輸送し、また南極条約で保護されるべき海域で危険な給油作業などを行なっているが、捕鯨船団の一部として登録されておらず、日本政府からもパナマ政府からも調査捕鯨に関わる許可を得ていない。

「パナマの管轄下にある船に、許可なしでワシントン条約違反にあたる鯨肉を運ばせて問題がないというのは明らかに無理がある」と、グリーンピース・ジャパン海洋生態系問題担当部長の佐藤潤一は語り、「こんな巨大タンカーを使って肉を運ばなければいけない野生動物の調査があるだろうか? 日本政府は調査捕鯨存続のために重ねてきた矛盾をここで改めなくては、G8のホスト国としてリーダーシップを云々する以前に、国際社会から見放されてしまうだろう」と指摘した。

(注1)詳しくは下記をご覧ください :
クジラとワシントン条約 -鯨肉の日本への持込みは本当に条約違反じゃないの?-
くじラブ・ブログ-パナマ船籍のオリエンタル・ブルーバード号が東京港に入港

お問い合わせ:
海洋生態系問題担当部長 佐藤潤一
広報担当 村上京子