「オーストラリア2州で遺伝子組み換えナタネ栽培のモラトリアムが失効すると、日本の消費者は遺伝子組み換えでない油や食品を選びたくても選ぶことが出来なくなる。オーストラリア政府は、ナタネ輸出国第1位である日本の消費者の要望を受け止めて欲しい」と、グリーンピース・ジャパン遺伝子組み換え問題担当の棚橋さちよはウィザーズ公使に訴えた。
オーストラリアでは、ナタネを生産するニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、タスマニア州、南オーストラリア州、西オーストラリア州の5州が、遺伝子組み換えナタネの栽培一時停止措置(モラトリアム)を制定しており、これまで遺伝子組み換えナタネの生産は一切行われてこなかった。しかし今年2月(注2)のニューサウスウェールズ州とビクトリア州のモラトリアム失効により、この2州で来月4 月から遺伝子組み換えナタネの作付けが開始される。タスマニア州、南オーストラリア州、西オーストラリア州の3州はモラトリアムの継続を発表しているが、遺伝子組み換えナタネの栽培がひとたび始まると、花粉の飛散や交雑により遺伝子組み換え汚染がひろがり、オーストラリア産のナタネから遺伝子組み換えでないナタネを選ぶ事がむずかしくなる。
ズーム
遺伝子組み換えでないナタネの栽培を続けてくださいと訴える棚橋さちよ(C)Greenpeace
日本のナタネ自給率は現在、0.01%にすぎず、輸入先はカナダが80%、次いでオーストラリアが18%。カナダ産のナタネはほぼ遺伝子組み換えナタネで、オーストラリアで遺伝子組み換えナタネが栽培されると、日本で消費されるナタネの約98%が遺伝子組み換えとなるのは必然で、日本で加工されるサラダ油やマーガリン、マヨネーズの原料となるナタネ油のほとんどが遺伝子組み換え原料を使用する食品となってしまう。
「世界的な穀物価格の高騰で食糧問題や輸入食品の安全性が議論されるなか、輸入原料の安全性についての議論も必要」と、棚橋さちよは語り、「輸入原料を使用する食品に対し、遺伝子組み換えであるかないかを示す表示の義務化が一刻も早く望まれる」と結んだ。
サイバーアクション: トゥルーフードな菜種を守ろう!
(注1) :
遺伝子汚染レポート英語版(PDFファイル 1.42MB)
(注2) :
ビクトリア州は2月29日、ニューサウスウェールズ州は3月3日にモラトリアムが失効した。
お問い合わせ:
遺伝子組み換え問題担当 棚橋さちよ
広報担当 成澤薫