【南極海】1月12日より15日間にわたり、日本の捕鯨母船日新丸(8044トン)による南極海のクジラ保護海域で捕鯨行為の監視・追跡していたグリーンピースのキャンペーン船エスペランサ号(オランダ船籍、2076トン)は、燃料の減少のため、本日、日新丸を離れ、帰路に着くと発表した。オーストラリア政府派遣のオセアニックバイキング号は引き続き日新丸を監視する様子。エスペランサ号の15日間に及ぶ追跡中、日新丸によるクジラの捕殺は行われていない。

日本捕鯨船団発表の今回の捕獲目標、約1000頭を達成するには、1日約9頭のミンククジラと、絶滅危惧種のナガスクジラを2日に1頭捕殺しなければならない。グリーンピースが追跡した15日間、約135頭のミンククジラと約7頭のナガスクジラが保護されたことになる。

「日新丸がエスペランサ号を振り切るようにして航行を続けたことから推測するに、今回の南極での捕鯨期間中は、その“調査捕鯨”の様子を撮影、そして公表されることがないようにとされていたのではと思います。この調査が『偽』でないのであれば、私たちの非暴力の抗議行動を避けるのではなく、その科学調査を堂々と行なうことができたのではないでしょうか。船団のみなさん、このことをご自身に対し真剣に問いかけてみてください」と、エスペランサ号の乗組員でグリーンピースのグリーンピースの海洋生態系問題キャンペーナー野田沙京は、無線を通じて、日本の捕鯨船とその乗組員に呼びかけた。「日本国内でもこの“調査”の正当性を疑う声が大きくなってきています。 こうした日本と世界からの疑問の声を真摯に聞いていただき、クジラ保護区での捕獲を見直し、このまま日本に戻るよう、再度お願いします」と続けた。

グリーンピースは、1月24日より、これまで絶滅危惧種を守る世界の多くのプロジェクトのスポンサーとなっているデジタルカメラ世界シェア第一位のキヤノン株式会社代表取締役会長御手洗冨士夫氏に対し、日本の致死的調査捕鯨の見直しを求める声明を発表して欲しい、とのメッセージをインターネットを通じて送るオンラインキャンペーン「クジラをとって 御手洗さん」(注1)を、世界各国の支部で開始した。キャンペーン開始後の最初の24時間で約20,000通のメッセージが世界中から寄せられている。

日本の調査捕鯨にはオーストラリア、ニュージーランド、イギリス、アメリカなど世界各国から非難の声が上がっている。グリーンピースは1月21日、「調査捕鯨は日本経済に悪影響を与える」として、日本企業の海外でのイメージを悪くしないための対策を取るべきと、社団法人日本経済団体連合会・御手洗冨士夫会長と社団法人経済同友会・桜井正光代表幹事あてに書簡も送っている。

「日本企業も、この捕鯨問題が国際的経済活動に悪影響を与えることを無視できない状況になっている。需要のないものに対し国民の税金をつぎ込み、わずか一握りの官僚や政治家の利益のために行われている偽の調査捕鯨に対し、グローバルな視野をもつ日本企業の冷静な判断を期待する」と、グリーンピース・ジャパン海洋生態系問題担当部長の佐藤潤一は語った。

グリーンピースは、今後、調査捕鯨の見直しを求めるために南極海での活動から日本国内での議論を高める活動へと移行し継続していく。

注1:「クジラをとって 御手洗さん!」キャンペーンサイトはくじラブサイトよりご覧になれます。
お問い合わせ:
海洋生態系問題担当部長 佐藤潤一
広報担当 村上京子