【東京】グリーンピースのキャンペーン船エスペランサ号(オランダ船籍、2076トン)は、本日、南極海のクジラ保護区内の海上で日本の捕鯨母船日新丸(8044トン)を発見、同船によるクジラ保護区の侵害に対し捕鯨計画の中止とクジラ保護区からの即刻退去を要求した。エスペランサ号は現在、日新丸を追跡中。

ズーム
エスペランサ号が追跡する捕鯨母船・日新丸
日本の捕鯨船は今期、国際捕鯨委員会(IWC)が1994年にクジラ保護区に指定した南極海で、1000頭近くのクジラの捕殺予定を発表しており、その中には絶滅危惧種であるナガスクジラ50頭も含まれている。日本政府が“調査捕鯨”と呼ぶこの捕鯨船団の実際の作業は、捕獲したクジラを南極海海上で加工・冷凍し、需要のない日本市場に無理に流通させることである。調査捕鯨に関して、IWCは不必要な調査であると勧告を出している。こうした日本の偽の調査に対し、国内での報道は少ないが、海外では広く知れ渡っており、欧州、アメリカ、オーストラリアなどから大きな批判の声があがっている。オーストラリア政府は今回、日本の調査捕鯨を監視するため監視船を出港させている。

エスペランサ号は2007年12月22日にニュージーランドのブラフを出港し、南極海にて捕鯨船団の追跡を行なっていた。

「この捕鯨は、国際捕鯨委員会でその中止が勧告されているものです。またこの捕鯨調査は、はるかに安価でかつ非致死的な手法を用いることで代替が可能なものです。」と、グリーンピースの海洋生態系問題キャンペーナー野田沙京は、無線を通じて、日本の捕鯨船に呼びかけた。

昨年11月の捕鯨船団の下関出港に際して、山田修路水産庁長官は、調査捕鯨の目的は商業捕鯨の再開のためであると公言しているが、商業捕鯨は、1986年にIWCでモラトリアムが決議され、国際社会は遵守している。これを無視して南極海で捕鯨を行っているのは日本だけ。商業捕鯨は歴史が証明するように、希少な生物を絶滅の淵に追いやり、捕鯨の持続可能な産業形態ではない。

「水産庁がいう商業捕鯨の再開は、国際関係で日本の立場を悪くするばかりか、経済的視点からも非現実的」と、グリーンピース・ジャパン海洋生態系問題担当部長佐藤潤一は指摘する。「この大掛かりな、“調査”の被害者は南極海のクジラだけでなく、その経費を支払わされている私たち納税者も被害者です。この偽の調査活動は、ただちに中止すべき」と結んだ。

グリーンピースは、インターネットを通じてエスペランサ号に設置したウェブカメラから南極海の状況をライブで世界に伝え、また、現場で撮影した写真・ビデオを即時世界に発信している。現時点で、追跡中の日新丸をこのカメラで確認できる。

南極海からの生中継ウェブカメラはこちらから

グリーンピースの南極海への航海は今期で9回目。エスペランサ号は2007年2月、火災を起こした日新丸への救援を申し出、南極海からの移動に付き添った。この火災事故によって鯨肉作業船が故障し、日新丸の乗組員一名の人命が奪われている。

*エスペランサ号とのライブ中継、また電話インタビューをご希望の方は広報担当までご連絡ください。

お問い合わせ:
海洋生態系問題担当部長 佐藤潤一
広報担当 村上京子