下関港から出航する捕鯨船団 (c)Greenpeace
国際環境保護団体グリーンピースは、本日、日本の捕鯨船団が南極海に向け下関港を出港するにあたり、声明文を発表し、捕鯨船団の南極への派遣の中止と、平和的な手段を用いてこの南極海での絶滅危惧種を含むクジラの捕殺を阻止する、と発表した。

グリーンピースの船、エスペランサ号は現在、捕鯨船団を南極海へと追跡し、その活動を監視するために宮崎県沖にて待機している。

「日本の報道機関は全く報道しないが、今回の危急種指定のザトウクジラ50頭の捕殺を含む調査捕鯨史上過去最大の南極海での捕鯨計画に対する海外での批判は非常に高い。地球温暖化、汚染など南極の保護意識が高まる中、南極クジラ保護区の指定海域で捕獲された絶滅危惧種が居酒屋で販売されることが国際的に理解される調査だと言えるのか。税金で行われているこの捕鯨は日本人自身でその必要性を再検討すべきだ」と、グリーンピース・ジャパン海洋生態系問題担当部長の佐藤潤一は語っている。

2007年11月16日

グリーンピースの声明
日本の捕鯨船団が南極海に向け下関港を出港するにあたって

国際捕鯨委員会において商業捕鯨の一時停止が決議されて以降、最大規模のクジラ捕獲数を目指す日本の捕鯨船団が、本日、下関港を出港した。捕鯨船団は絶滅危惧種に指定されたナガスクジラ50頭、危急種指定のザトウクジラ50頭、ミンククジラ935頭を含む、総計1000頭以上のクジラの捕殺を南極海で行う。

現在、宮崎県沖に停泊するグリーンピースの船、エスペランサ号の船上から、グリーンピース・インターナショナルの海洋生態系問題担当のカーリー・トーマスは次のように話す。「日本政府はこの捕鯨計画を“調査”捕鯨と呼んでいるが、この“調査”計画には科学的根拠がなく、これは商業捕鯨そのものである。国際捕鯨委員会も再三、停止勧告を発令している。また、この捕鯨計画は、“科学”の名目で日本の納税者の望まないものにその税金を投入していること、そしてホエールウォッチングを主とした観光の収入源とする国々からその収入源を奪っていることを、忘れてはならない。捕鯨船団の狙うザトウクジラは危急種に指定されている鯨類であり、また、世界各国で活況を呈するホウェールウォチング産業の重要な一部を成している。捕鯨船団は直ちに呼び戻されるべき。この捕鯨が国際世論に反して強行される場合には、グリーンピースは、平和的な手段に訴えてこれを阻止する。」

グリーンピースは、本年10月より、ザトウクジラにGPS発信機を装着し、ザトウクジラが太平洋から南極海へ回遊する軌跡をモニターする「クジラ海道」と題するプロジェクトを展開している。「クジラ海道」プロジェクトでグリーンピースは、研究活動の拠点を太平洋におく科学者たちと協力し、クジラの調査が効果的に、また、非致死的手段で行えることを立証している。「クジラ海道」のウェブサイトでは、南に向かう日本の捕鯨船団の航跡も見ることができる。

「クジラ海道」はこちらをご覧ください

お問い合わせ: 特定非営利活動法人グリーンピース・ジャパン
海洋生態系問題担当部長 佐藤潤一
広報担当 城川桂子
村上京子