【南極海】本日、国際環境保護団体グリーンピースは、南極条約を管轄している環境省で、日本時間15日の未明に火災を起こした捕鯨母船・日新丸(共同船舶株式会社所有 8, 030トン)について、グリーンピースのエスペランサ号が行方不明者の捜索・救援そして環境影響評価を行う用意があること、そして南極海域での大災害を避けるため日新丸が航行不能な場合は安全な地域まで曳航(他の船や荷などを引いて航行すること)することを申し出た。「環境保護に関する南極条約議定書の附属書VI」では、この海域で緊急事態が起きた際には、早急な対応をすることが義務付けられている。


環境省での申し入れの様子 (YouTube)
現在、南極海を航行中のグリーンピースのキャンペーン船・エスペランサ号は火災を起こした捕鯨母船・日新丸から1日以内のところを航行中で、日本時間明日早朝には火災現場に到着予定。エスペランサ号には、ヘリコプターの他さまざまな機器が備わっており、行方不明の方の捜索や、環境影響評価、そして捕鯨母船が航行不能な場合には日新丸を安全なところまで曳航することが可能である。

海外報道によると、日新丸は電気系統を火災のために破壊され、航行が不能の可能性があるという。日新丸がいる海域は、オイル漏れなどの事故が起きた際には決して取り返しのつかない南極海という非常に繊細な海域で、座礁などした場合には南極海の大災害につながる。

しかし、現地の捕鯨を管轄している日本鯨類研究所はグリーンピースからの曳航要請に対して「テロリストからの救援は必要ない」とコメントして、グリーンピースからの援助を断っている。

「人命と環境影響が優先されるこのような現状で、政治的な議論を優先している場合ではない。私たちはまず、行方不明の方の安否確認を最優先に考えている。そしてこの火災の環境影響の調査も行わなければいけない。南極条約にもあるように、世界中の国がこの地域の環境を守る責任を持つ。日本の船がこのような状況であれば、環境省はすぐにでも日新丸への対処を考えなければいけない」とグリーンピース・ジャパンの事務局長、星川淳は語った。


環境省記者クラブで会見する佐藤潤一(左)と星川淳事務局長
エスペランサ号の船長であるフランク・カンプはグリーンピースの船長になる前に10年以上も船の曳航を専門として働いてきた専門家でもある。このため、いち早く日新丸を貴重な環境である南極海域から外に曳航することが可能だ。

「ニュージーランド政府によると、日新丸のいる海域の天候が良いのはあと2日程度だけという。エスペランサ号以外の船を日本政府がチャーターしても現地に行くまでに最低1週間程度かかる。グリーンピースは、この状況で大災害の可能性のある船を南極海に一週間漂わせておくわけにはいかない」と星川淳は続けた。

明日の昼過ぎにはエスペランサ号が現地に到着し、現場の写真、ビデオなどを公開する予定で、グリーンピース・ジャパンのオフィスでの記者会見も予定している。

火災捕鯨母船の曳航の申し入れ書 (PDFファイル,80KB)

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